動物たちは人間の言葉が話せない。
だから食欲があるとか、ないとか、元気はどうですかとか、すべてを飼い主さんから聞かなくてはならない。
僕らの仕事、よく「動物相手の仕事」と言われ、場合によっては「いいですよね〜、動物相手だから気楽ですよね、人間関係に悩まなくてもすみますよね。」などと言われることまである。
確かに動物相手には違いないのだが、動物がここが痛いからと言って自分一人で病院に来るわけでもなく、検査や治療の説明を聞いてくれるわけでもない。
あくまで飼い主さんから聞き取り、飼い主さんに説明をするのである。
こんな飼い主さんからお話を伺うのはたいへんだ(笑)。
「こんにちは、○○ちゃんは今日は嘔吐したんですか。何か変わったものは食べませんでしたか?」
「○○ちゃん、ちぇんちぇいが何か変なものは食べまちぇんでしたか?ですって〜。何にも食べてないでちゅよね〜。」
「・・・、そう、ですか。食欲はありますか?」
「○○ちゃん、食欲はどうでちゅかって。○○ちゃんは今日は何も食べたくないんでちゅよね〜。」
「ちょっと聴診しますね。」
「○○ちゃん、ちぇんちぇいがもしもししてくれまちゅよ〜。はいは〜い、いい子いい子でちゅよ〜。もしもし〜、いい子、いい子〜。」
「・・・。」
血液検査や注射が必要なときでも、
「○○ちゃん、○○ちゃん、痛い、痛い、痛い、怖いでちゅね〜。」と。
お気持ちはものすごくわかるし、大切にしておられるのもよくわかる。
でもね〜、ものすごくやりにくいんですよ(笑)。
でも、飼い主さん側からすれば、話しにくい獣医師っていうのもいるんだろうな(笑)。