普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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昔のお話し 7

続きです。

1209626988894892.jpg

ジープは赤土の道をどんどん国道から離れていきます。

 

広い草原を走ったかと思うと突然暗い森の中に入ったり。

 

2本の板がかけてあるだけの橋で川を渡ったり。

 

道があるということは奥に村があるということなのですがなんとも不安です。

 

 

1209626958182537.jpg

時にはこうして白骨化した牛の死体もありました。

死因は何かわかりません。

 

自然に生えている草しか食べていないのだし、病気になっても治療は受けられないのだから、弱いものから死んでいき、強いものが生き残るという自然に近い環境でした。

 

ここでの僕のお仕事はこうした動物たちを少しでも減らすことなんだろうな・・・と、考えながら村をめざしました。

 

1209626896223621.jpg

村が近づいてくると、土地に柵がしてあったり、ロバが道路を歩いていたりします。

 

「もうすぐだからね。」とスタッフが言います。

どきどきです(笑)。

 

やがて民家がぽつぽつと現れ始め、住民が道路や庭先に見られるようになりました。

車が全部で4,5台しかない村です。

僕らの乗ったジープが通るとみんな珍しそうにこちらを見ます。

で、乗っているのが東洋人だとなると、さらに珍しそうに見てきます(笑)。

 

僕らを見ている人も気になりますが、その辺をうろうろしている牛や馬、豚に羊に犬とか猫とか、ニワトリやアヒル、見たこともない鳥なども気になります。

何しろこれから2年間、この村でそれら動物たちを相手に仕事をしなければならないわけですから。

ドッグフード以外は与えてはだめですよ〜、なんてまったく通じないでしょうね(笑)。 

 

次第に家が多くなってきました。

そしてジープは村の中央に入りました。

一軒の家の前で止まります。

 

「ここが君の下宿先だよ、セニョール。」とスタッフが言います。

家の中からご主人らしき男性と、その奥さんらしき人が出てきました。

男性はスペイン系のダンディな人でした。

奥さんは明るい笑顔満面でした。

 

習ったとおりのスペイン語で挨拶します。

握手をします。

片言の挨拶を聞いたご主人と奥さんが「おお、スペイン語ができるじゃないか〜。」という感じでペラペラと話しかけてきます。

・・・、まったくわかりません(涙)。

 

しばらくスタッフを交えて(通訳してもらいながら)話しをしていると、突然スタッフが「じゃあ、僕は暗くなる前に帰るから。2年間頑張ってね。じゃあね。」と言ってさっさとジープに乗り込むではありませんか。

え〜、ちょっと待ってくれよ、いきなり帰るの?ちょっと、ちょっと〜(涙)。

 

でもジープは非常にもブイ〜と赤い土ぼこりを立ててあっさりと走り去っていきました。

 

このときの心細さはおそらく今までの人生で最大のものでしょう(笑)。

何しろ、今、この瞬間からこの村に一人ぼっち・・・。

いや、正確には村人や新しい家族がいるのだけど、何しろ言葉がまだ通じない・・・。

 

いやー、まいった、まいった・・、でした。

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この記事への返信
shu先生の青春、ワクワク(笑
なかなか、協力隊の受け入れもなかなか難しいんですね。
ホントに紆余曲折って感じ。
でも、絶対に普通の方では経験できないことだし、貴重な体験ですね!
Posted by さっち | 13:47:06, May 04, 2008
さっちさん、いつもありがと〜♪
Posted by shu | 09:47:48, May 07, 2008
ブエナスノイテス。
知らない土地での生活、ムーチョ大変ですよね(笑)
そういう中での活躍。
続きが楽しみです。
Posted by まきっころ | 21:13:02, May 08, 2008
まきっころさん、ブエナスタルデス!
いつも、ムーチャスグラッシアスです♪
Posted by shu | 13:37:23, May 10, 2008
shuせんせっ!お久しぶりです♪
久々に遊びに来ました!と思ったら何やら楽しそうな
昔話にややしばらく読み入ってしましました。

この様な人生を選ぶ事って、選ぶ事を検討する事は
だれにでも出来るけど、それを実行できる人は
そういないです。
普段から先生は素敵な人だな〜なんてお会いした事も
ないのに確信している私ですが(笑)やっぱりすごい
お人だと改めて思いました(^-^)

私は10年以上前にオーストラリアへ3年ほど
留学しましたが、ネットの時代ではなかったので
それこそ、一校一校手紙を送り資料請求をして
入学の手続きも飛行機も代行には頼まず自分で行いました。

オーストラリアですら、たった一人飛行機に乗って
旅立つ心細さといったらなかったです。
しかも手違いで迎えの方が空港に来ていなくて
到着した瞬間1人取り残される事態になってしまって・・・苦笑

だから少しはshu先生のジープが去っていくときの
不安な気持ちは(比べ物にはなりませんが)少しは
分かる気がします。
思わず言葉の理解できない不安な気持ちやコミュニケーションとれないじれったい気持ちを思い出し長々とコメント
しちゃいました〜^^;
でも英語圏内でもそうだったんです。
南米なんて想像もつかないです。

先日ミルクに突然シコリが数個でき手術しました。
一緒に迷っていた避妊手術も。結果シコリは心配ない
もので一安心でした♪モカは元気です(^-^)

昔話の続き楽しみにしていますね〜
お忙しい時期ですがお仕事頑張ってください!
Posted by mmk | 08:30:57, May 13, 2008
mmkさん、こんにちは、こちらこそお久しぶりです。
確か猫の「ひらたさん」でしたっけ、そのころから更新がなくなってたような気がして僕も覗いておりませんでした(笑)。
ミルクちゃんは無事に手術が終わってよかったですね。
ご心配でしたね。

オーストラリアですかー。
行ったことありませんがいいなぁ、行ってみたいなぁ。
それにしても何でもかんでも一人でされたんですね。
さすがです♪
でも行ってしまえばきっと英語圏でもスペイン語圏でもかわらず不安だし、そして何とかなるんでしょうね。
よい経験だったと思ってます。
Posted by shu | 11:13:14, May 14, 2008


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