普通の動物病院の診療日記

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小さな町の動物病院の獣医師です。

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Sep 29, 2006
避妊手術・去勢手術 8

1159493640203659.jpg今回はデメリットについてです。

 

まず、やはり一番最初に誰もが不安に思われるのは全身麻酔ですよね。

これはすでに書きましたので、ここでは省略します。

 

そして、手術そのものの成否、つまり、通常はほとんどありえませんが、大出血があったりとか何かの理由でうまくいかなかったらどうしようという不安もおありだと思います。

 

それから動物たちに、痛みを与えてしまうことになります。

現在、術後の痛みを取るための優れた鎮痛剤が多種出てきており、また、獣医師の世界も「動物に対して痛みを与えないようにする」ことが当たり前になってきました。

 

以前は手術の後に痛いのは当たり前だとか、痛いほうが麻酔からの覚醒がよいなどという話も聞いたことがありますが、現在では動物だって人間と同様、痛いのはかわいそう、痛みを感じないようにしてあげよう、と考えられています。

 

でも、動物たちに恐怖や少ないにしても疼痛を与えてしまうことに変わりはありませんね。

 

また、オスとメスでは異なるのですが、性ホルモンの大半を作っている性腺(精巣と卵巣)を摘出してしまうためにいくつかの問題を生じます。

手術の後に、太りやすくなるという話を聞かれることは多いだろうと思いますが、これは事実で、性ホルモンがなくなるために起こることです。

 

オスの体はメスに比べ、筋肉質でがっちりしていますが、これには性ホルモンも関与しており、蛋白質同化作用といって筋肉を作りやすくしています。

オスの性ホルモンがなくなると筋肉の代わりに脂肪が付きやすくなってしまいます。

精子を作るのにもエネルギーが必要ですし、周辺のオスと戦ってメスを獲得するために神経を使うのにもエネルギーが必要です。

発情期のメスに反応して探しまわったり、騒いだりするのにもエネルギーが必要ですね。

 

メスの性ホルモンは発情を起こしたり、乳腺を発達させ、さらに食欲抑制作用を持っています。

それがなくなることで、それらに使われていたエネルギーが余ってしまい、また食欲も増加してしまいます。

 

ただし、オスの場合もメスの場合も、この体重増加はフードによるカロリーコントロールで十分に予防できる範囲のものであることもわかっています。

しかし、フードを低カロリーのものに変更するとか、量を減らして、もっともっとと欲しがるのに我慢させなければならないこともデメリットでしょうね。

 

それから稀にですが、ホルモンの欠如による疾患も起こる可能性があります。

性ホルモン反応性脱毛などがそうです。

また、メス犬で性ホルモン失調性の尿漏れもその一つと言われていましたが、避妊手術を受けていないメス犬でも尿漏れを起こすことから、現在、性ホルモン失調性とは呼ばれなくなっています。

ですが、避妊手術を受けたメス犬のほうが、より尿漏れを起こしやすいのも事実とされています。

 

性格的には主にオスのほうですが、覇気がなくなる傾向にあります。

良く言えば、穏やかになるのですが、今までの性格と多少変わってしまう可能性もあるわけです。

 

そして、当然、お金がかかるのも飼い主さんにしてみればデメリットでしょう。

 

また、皮下に埋め込み式のインプラントで発情を抑える方法もありますが、子宮蓄膿症を起こしやすくなることが知られているため、僕はまったく使用していません。

 

避妊や去勢は「自然でないから嫌だ」とお考えの飼い主さんともよく出会います。

これもそれぞれの飼い主さんの考え方によりますよね。

ただ、本来の自然とは、強いオス犬やオス猫だけが、ケンカに勝ち残ってメスと交尾して自由に繁殖するわけですから、飼われて繁殖制限を受けたり相手を決められていること自体がすでに自然ではないと思っています。

 

まだまだ、デメリットもあるかもしれません。

 

とりあえず、今回はこのへんで。

Sep 26, 2006
避妊手術・去勢手術 7

1159253575198963.jpg今回から避妊や去勢による、実際のメリットとデメリットを考えてみたいと思います。

 

しかし、同じ内容のことであっても、人によってそれをメリットと感じたり感じなかったり、デメリットと感じたり感じなかったりすることはあるでしょうから、ここで述べるメリットやデメリットはあくまで僕の考える範囲内でのメリットやデメリットであるとご理解くださいね。

 

まず、メリットから。

 

やはり、一番大きなメリットは病気や事故の予防になると思います。

 

上の写真は子宮蓄膿症です。

このブログでは何度か登場していますので、細かい説明は省略します。

出産経験のない(少ない)、中高齢以上のメス犬・猫に見られる病気です。

 

そして乳腺腫瘍。

これも何度か登場していますので細かくは書きません。

乳腺にできた腫瘍のうち、犬で50%、猫で80%が癌だと言われています。

犬でも猫でも初回発情が来る前に避妊手術をすることで、その発生率がかなり少なくなることがわかっています。

 

オスの場合は肛門周囲腺腫、前立腺疾患、精巣腫瘍、会陰ヘルニア、外に出る猫の場合はエイズや白血病、そして交通事故などがあげられます。

猫エイズや白血病を蔓延させにくくなることも疫学的なメリットでしょう。

 

他にもあるのですが、かなりの種類の病気や事故の予防になることは事実です。

こうした予防によって、避妊・去勢してある犬猫たちと、していない犬猫たちには寿命に差が生じてしまうという報告があります。

最近入手したフードメーカーの資料から見ると、猫の場合ですが、去勢していないオス猫の平均寿命は5.1才、去勢してあると10.4才です。

メス猫では避妊してあると6.1才、避妊していないと10.4才だそうです。

上の文は「ある」と「いない」が逆でした(汗、汗、汗)。

 

メス猫では避妊していないと6.1才、避妊してあると10.4才だそうです。

 

訂正いたします。

 

室内で飼育され、病気をしないで一生を終えると、最近の猫では18才を寿命と考えるのようになっているので、かなりの差が出てしまいますね。

 

病気以外に僕がメリットと考えるもう一つの大きなものは、不幸な子犬や子猫を作らせないということです。

日本で年間40万匹とも50万匹とも言われる、保健所で殺処分される動物。

犬猫はおおよそ半々(猫のほうが多い)ですが、猫の場合その80%が子猫です。

保健所での処分以外に山に埋められたり、川や海に流される子犬や子猫もたくさんいます。

 

しかし、最近、このような事実をネットや出版物、各地での公演や展示などによって多くの人に知ってもらう運動が多くなり、毎年少しずつですが上記のような子犬や子猫が減りつつあるのも事実です。

 

いくつかの自治体では子犬や子猫の引き取り(殺処分)を有料化して処分頭数を減らそうとしていますが、うまくいけばよいのですが、悪くすると捨てられるケースが増えてしまう可能性もあります。

そうすると、結果的にはますますノラちゃんたちが増えることになりますね。

 

それ以外のメリットはどうでしょう?

問題行動(オスであるがための攻撃行動や縄張りを守る行動など)が去勢によって抑えられる場合も多いでしょう。

発情期に外に出してもらえなくていらいらするストレスの軽減にもなるでしょう。

そして穏やかになる子もいるでしょう。

 

また、特にメス犬の発情のたびに出血し、家の中が汚れたり、あるいはオムツをしてあげたりするという飼い主さんにとっての作業やストレスも軽減されるでしょう。

メス猫が発情してにゃおにゃお大声で鳴いて夜中もうるさいとか、オス猫のスプレーで尿が非常に臭く、部屋が臭って困ることも減るでしょう。

 

これらのことは飼い主さんによっては非常に重大と考えられる方もおられれば、別にたいしたことではないと思われる方もおられると思います。

 

まだ他にもあるかもしれませんね。

とりあえず、僕の考えるメリットはこのようなものでしょうか。

 

他にもあれば書き込みしてくださいね。

 

次はデメリットへ行きます。

 

Sep 24, 2006
避妊手術・去勢手術 6

血液検査の二つ目です。

 

血液の血球以外の成分である、血漿に含まれるいろいろなものを測定することで、やはりいろいろなことがわかります。

血液生化学検査と呼ぶものです。

 

避妊や去勢手術をする前の血液検査ですから、病院によって違いはありますが、通常は肝臓や腎臓がちゃんと働いているかどうかを知ることがメインになります。

 

多くの麻酔薬や麻酔導入薬、あるいは他の多くの薬、あるいはお酒なんかもそうですが、体内に入ったものは血液に乗って肝臓へ運ばれ、そこで加工されます。

加工されて無毒になったものや形を変えたもので不必要なものは、次に腎臓へ運ばれ尿に混ぜられ、体外へ排泄されます。

肝臓のすぐ近くにある胆嚢に運ばれて胆汁と一緒に腸へと排泄されるものもあります。

 

要するに、肝臓は大きな工場であり、麻酔薬を分解してくれ、腎臓がそれを捨ててくれるということになります。

よってどちらか一方に異常が認められれば、麻酔をかけることのリスクが高くなってしまいます。

少しでも麻酔による事故を減らすためには、これらの状態を知っておくほうがより安全ということになります。

 

僕自身、ずっと以前には、健康で若く元気な犬や猫の避妊や去勢の場合、飼い主さんが血液検査を拒まれれば、血液検査なしで麻酔をかけていたこともありました。

ですが、今は100%血液検査をしています。

若いのに血液検査で異常がみられるケースも思っていた以上にありました。

 

また、ガス麻酔のうち、イソフルレンはほとんどが肺で吸収され肺から体外へ排泄される薬です。

したがって、肝臓や腎臓が多少悪くても使いやすい麻酔薬です。

しかし、麻酔導入薬や前投薬などはやはり肝臓や腎臓に頼って排泄されているため、機能が悪いときには麻酔は避けなければなりませんね。

逆にフローセンというガス麻酔薬は肝毒性がありますし、肝臓や腎臓が悪ければ使えません。

現在、使われなくなりつつある麻酔薬です。

同じガス麻酔でも内容にはかなり差が生じます。

 

個々の血液検査の項目、例えばALT(GPT)、AST(GOT)、ALP、BUN、Creなどの詳しい内容は今は書きませんが、それぞれに意味があり、意味がわかるとなかなかおもしろいので別の機会に書いて見たいと思います。

 

こうした血液の検査によって、異常がなければ麻酔に入ることになります。

もし異常が見つかれば延期したり、原因を解明して(必要なら)治療することになります。

 

避妊手術や去勢手術はあくまでも健康なときに行う手術です。

Sep 21, 2006
避妊手術・去勢手術 5

血液検査について簡単に書いていますが、昨日の続きです。

まず、一つ目はCBCです。。

CBC(完全血球計算)とは、血液のうちの血球(赤血球、白血球、血小板)の数や大きさなどがちゃんとしているかどうかを調べる検査です。

 

赤血球は体中に酸素を運んでくれますので、貧血があっては麻酔のリスクは高くなりますし、また逆に濃すぎてもある種の病気や脱水状態が考えられ、やはりリスクは高くなります。

貧血がある場合でも、どんな種類の貧血か、何が原因で起こっている貧血の可能性があるかなど、多くの情報を得られます。

 

白血球には好中球、リンパ球、好酸球、単球などがあります。

それぞれ主に免疫系の仕事をしてくれています。

例えば好中球はばい菌を食べてくれます。

好酸球はアレルギーや寄生虫に関与してくれています。

これらが多すぎたり少なすぎたりした場合も体に何か異常が起こっている可能性が示唆されます。

 

血小板は止血のために働いてくれています。

したがって血小板が少なすぎるような時には止血異常が起こるかもしれませんし、多すぎるときも何か異常がある可能性があります。

 

CBCはこうした血球の状態を調べる検査で、これによって様々な情報が得られます。

 

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朝から暇をみて書き始めましたが、今日はいろいろありまして、ここまで書いて夕方になりました(笑)。

短いですが今日はここまでにさせてください。

 

なかなか進まなくて申し訳ありません。

Sep 20, 2006
避妊手術・去勢手術 4

では、まずおおよその手術の流れから入ってみます。

 

一般的には日本では避妊も去勢も、そして犬でも猫でも生後6ヶ月くらいからできますよ〜と言われることが多いかと思います。

もちろん、大型犬と小型犬などの個体差もあるため、一概には言えません。

体重や発育状態などを個々にかかりつけの先生に診てもらい、そろそろ大丈夫でしょうとなったときに行います。

 

アメリカではシェルターなどで保護されている犬や猫の早期避妊・去勢手術が実施され始め、すでに10年くらいが経過していると思いますが、若い頃に避妊・去勢手術をしたがためのホルモン異常による影響は出ていないとの報告があります。

しかし、ではあと5年、8年歳を取ってからはどうか、との結論にはまだ達していません。

 

また、手術方法も相当多数の子犬や子猫に実施するために、(場所によっては)時間短縮のため、かなり簡単な方法で行われているとアメリカの獣医師に聞いたことがあります。

 

さて、日本での話しに戻りますが、6ヶ月以上のすでに成犬、成猫になっている動物も手術はできますよ。

メリット・デメリットに多少違いは出てきますけれど。

 

まず、病院で避妊・去勢手術を希望すると話されますよね。

あるいは、迷っていることを相談されます。

これから書いていくメリットやデメリットなどを先生と相談し、それでは手術をすることになったとします。

 

日程を決めます。

病院によって若干違いますが、当日の朝、絶食・絶水で連れてきてくださいと言われるところもあるし、家で盗み食いなどをしないよう前日から入院させられるところもあるでしょう。

 

うちでは当日の朝、動物を連れてきてもらい、避妊手術は1泊、去勢手術は日帰りを基本としていますが、これも病院と飼い主さんの飼育環境・ご性格、動物の性格・状態・年齢などによって若干異なります。

 

病院側では手術の日に合わせて器具・機械の準備や滅菌、ダブらないようにスケジュールの調整を行います。

ほぼ毎日手術をしているような病院ではこれらの作業は当たり前のように行われています。

しかし、手術当日のドタキャンは病院にも手術の順番を待っている他の飼い主さんにも大きな迷惑になりますから、飼い主さんたちも絶食や絶水には気をつけてくださいね。

 

そして血液検査を行います。

血液検査は前もって実施することもあるし、手術当日に行うこともあります。

血液検査は大きく血球と生化学の二つに分けて考えます。

 

これは明日、簡単に書きます。

Sep 16, 2006
ところで

ところで、昨日から東京ではJBVP(獣医臨床フォーラム)の年次大会が行われています。

僕は今回は行けませんでしたが、何百・何千という獣医師や看護士さんたちが勉強のために東京に行っています。

 

一般の飼い主さん向けのセミナーもあります。

中には麻酔の安全性について話してくれる部屋もあるようですね!

行ける環境の方は一度行ってみられるといいかもしれません。

 

http://www.jbvp.org/petlovers/announce_program.html

http://www.jbvp.org/petlovers/

 

明日は午前の仕事を終えてから、別の用事で東京へ行かねばなりません。

このフォーラムには参加したかったけど、今年は私用で休みすぎてしまい無理でした。

あ〜あ、残念(笑)。

Sep 13, 2006
避妊手術・去勢手術 3

なかなか更新ができず、申し訳ありません。

前回に引き続き、ちょっとだけ麻酔の話です。

 

前回書きました麻酔による死亡率とか副反応ですが、多くの方もご存知のように、動物の種類によっても差があることが報告されています。

ただ、その報告はアメリカの報告によるものが多いため、アメリカと日本では飼われている犬や猫の種類が違うため、そのままは当てはまりません。

例えばアメリカではブルドッグがもっとも副反応が多いと言う報告がありますが、日本にブルドッグがどれくらい飼われているかとなると、かなり少数派になってしまいます。

 

ざっと言えば、日本では短頭種(パグ、ペキニーズ、シーズーなど)、猫ではヒマラヤンなどに副反応が出やすいと言えるかもしれません。

 

また、ジャックラッセルテリア、ウェスティも副反応が起こりやすいという別の報告もあります。

 

麻酔はまず麻酔前投薬あるいは導入麻酔薬と言われるものを皮下、筋肉内、静脈内などに注射します。

種類は様々で、獣医師は使い慣れたもの、そしてなるべく安全性の高いものを選びます。

以前では当たり前だった前投薬同士の組み合わせが、その後の研究や報告によって現在では危険なものになっているような場合もあるため、獣医師用の情報を提供してくれるネットやセミナー、勉強会などで情報を集めます。

 

前投薬や導入薬で動物が眠ったら、次に維持麻酔(手術のため全身麻酔を維持すること)に入ります。

手術の種類によっては数分間から、長ければ数時間もの間、動物を寝せなければなりませんから、この維持麻酔がたいへんです。

現在、維持麻酔はほとんど気管挿管によるガス麻酔によって行われるようになっています。

手術が短いものであれば、マスクによるガス麻酔であっという間に済ませてしまうケースもあるかと思います。

 

ガス麻酔はイソフルレンが動物用に認可されたものとしてはもっとも多く使われていると思います。

セボフルレンというもっと新しいガス麻酔も増えつつあり、逆にフローセンというガス麻酔はすでにあまり使われなくなっています。

 

ただし麻酔のかかり方や維持の方法など、ガス麻酔によって差があるため、新しい麻酔が出たからと言ってすぐにそっちに変更せず、獣医師が「慣れていること」も安全を維持する重要な要素になると思います。

 

獣医師が一人しかいない病院も多いわけですが、きちんとした獣医師ほど安全確保に神経を使ってくれていると思います。

気管挿管してあれば、呼吸が止まってもさほど慌てずにすみますし、術中の生体モニターが装着してあれば異常が出る前に気づくことができるため、1台のモニターは複数の見張り役を果たしてくれることになります。

 

最初に書いたように電話での料金のお問い合わせに対してここまで詳しく説明できないのが残念ですし、現在の獣医師法では「当院ではこれこれの麻酔薬や生体モニターを使用して手術をしており、料金はいくらになります。」という宣伝が禁じられています。

電話帳広告や情報誌などにそういう広告を出すことができたら、飼い主さんたちは助かると思うのですが、何故か禁じられています。

結局、結果的に「きちんとしていない獣医師を守る(そんな獣医師は存在しないことを心から望みますが)」ことになってしまう可能性があるのですが、獣医師は獣医師法によっていろいろな制限を受け、かつ、同時に守られてもいるからです。

 

ただ、今のところインターネットのホームページ上に載せるのは、宣伝とはみなされていないようなので、上記の内容を載せることができるようです。

なんだか変な話ですよね。

 

では、次回から避妊手術・去勢手術のメリットとデメリットについて考えて行きたいと思います。

 

 

Sep 06, 2006
避妊手術・去勢手術 2

多くの飼い主さんにとって一番のご心配は麻酔ではないでしょうか。

避妊手術も去勢手術も一般には全身麻酔が必要となります。

ヒトの盲腸などの手術みたいに、脊髄を麻酔したり局所麻酔での手術も不可能ではないかもしれませんが、ヒトみたいにじっと動かないでいてくれません。

痛くなくても逃げようとしたり、動いたりして結局はよけいに危険になる可能性があります。

そのため、僕らは全身麻酔を施します。

 

その全身麻酔ですが、実際、どれくらい危険なのかご存知でしょうか?

また、動物病院で説明を受けておられるでしょうか?

 

実は、残念ながら健康な犬や猫に全身麻酔をかけた場合、どれくらいの死亡率があるかという報告やデータはありません(僕が調べた限りでは、です。)。

しかし、アメリカでの報告ではよく知られているもので、コロラド州立大学が発表したデータなどがあり、僕も飼い主さんにお話しするときにその報告を参考にしてお話をしています。

 

細かく書くととても膨大になるので、簡単に書きます。

あくまでも病気や事故の犬猫も含まれている数字です。

健康な動物だけでの数字ではありません。

 

1955年〜1957年の資料では犬の全身麻酔での死亡率は1.2%。

1979年〜1981年では犬で0.43%。

1992年、他のチームの発表では犬で0.11%。

1993年〜1994年のコロラド州立大学では心停止が起こった犬は2556頭のうち0.5%、猫は683頭のうち0.4%で、そのうち47%が蘇生に成功。

 

また、別の報告で、猫と健康状態と麻酔の関係を報告したものがあります。

6ヶ月齢以上の猫、138頭に30分以上の麻酔をかけ、3頭(2%)に心肺停止が起こったそうです。

この場合、年齢には関係なく、その固体の健康状態が影響を及ぼしたとされています。

 

つまり、おおよそ0.1〜0.43%の死亡率が報告されていることになります。

くどいようですが、病気の動物も含まれています。

 

僕はここでは死亡率だけを書いていますが、上記の報告らには例えば呼吸困難や呼吸停止、頻脈(心拍が早くなること)や徐脈(ゆっくりになること)など、他にもいろいろな合併症は報告されています。

 

そして、上記の報告が出されるために集められた資料は2006年現在からくらべるとどれも10年以上も昔のものです。

麻酔薬は年々進化しており、より安全なもの、より安全な方法へと変わっていきつつあります。

それでも100%の安全はありえませんけど。

 

麻酔の合併症を減らすため、より安全な手術をするため、僕らもいろいろと努力しています。

よくテレビでお医者さんが手術をするとき、テレビみたいなモニターに心電図が写っており、「ピコーン、ピコーン」と、音が聞こえていますよね。

あれは生体モニターと言って、心電図、呼吸数、血液中の酸素濃度、二酸化炭素濃度、麻酔濃度、血圧、体温などをモニターしてくれるものです。

機械によって差はありますが、呼吸停止や心臓停止などの異常(赤信号)が起こってからあわてて蘇生するのではなく、「異常が起こる前に」黄色信号を知らせてくれるための機械です。

異常が起こる前にわかれば、当然、異常を起こさないようにできる確立が高くなります。

 

高額な機械なので、持っている病院もあれば、持っていない病院もあります。

 

以前にも書きましたが、よくお電話で「避妊手術はおいくらですか?」との問い合わせがあります。

安ければよいのはもちろんですが、麻酔に対してどこまで対策をしてくれているかが大切であると思っています。

 

昔ながらの注射麻酔だけで手術をしてしまう病院もいまだに存在していますし、気管挿管(気管に管を通すこと)し、より安全なガス麻酔を使用する病院もあります。

当然、注射麻酔よりもガス麻酔は機械も高いし麻酔薬自体も高いし、安全重視ならば料金も高くなるのは当然と考えます。

ガス麻酔の中にも数種類あります。

 

長くなるので今日はここまで。

次回、もう一度ちょっとだけ麻酔の話を書きますね。