今回から避妊や去勢による、実際のメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
しかし、同じ内容のことであっても、人によってそれをメリットと感じたり感じなかったり、デメリットと感じたり感じなかったりすることはあるでしょうから、ここで述べるメリットやデメリットはあくまで僕の考える範囲内でのメリットやデメリットであるとご理解くださいね。
まず、メリットから。
やはり、一番大きなメリットは病気や事故の予防になると思います。
上の写真は子宮蓄膿症です。
このブログでは何度か登場していますので、細かい説明は省略します。
出産経験のない(少ない)、中高齢以上のメス犬・猫に見られる病気です。
そして乳腺腫瘍。
これも何度か登場していますので細かくは書きません。
乳腺にできた腫瘍のうち、犬で50%、猫で80%が癌だと言われています。
犬でも猫でも初回発情が来る前に避妊手術をすることで、その発生率がかなり少なくなることがわかっています。
オスの場合は肛門周囲腺腫、前立腺疾患、精巣腫瘍、会陰ヘルニア、外に出る猫の場合はエイズや白血病、そして交通事故などがあげられます。
猫エイズや白血病を蔓延させにくくなることも疫学的なメリットでしょう。
他にもあるのですが、かなりの種類の病気や事故の予防になることは事実です。
こうした予防によって、避妊・去勢してある犬猫たちと、していない犬猫たちには寿命に差が生じてしまうという報告があります。
最近入手したフードメーカーの資料から見ると、猫の場合ですが、去勢していないオス猫の平均寿命は5.1才、去勢してあると10.4才です。
メス猫では避妊してあると6.1才、避妊していないと10.4才だそうです。
上の文は「ある」と「いない」が逆でした(汗、汗、汗)。
メス猫では避妊していないと6.1才、避妊してあると10.4才だそうです。
訂正いたします。
室内で飼育され、病気をしないで一生を終えると、最近の猫では18才を寿命と考えるのようになっているので、かなりの差が出てしまいますね。
病気以外に僕がメリットと考えるもう一つの大きなものは、不幸な子犬や子猫を作らせないということです。
日本で年間40万匹とも50万匹とも言われる、保健所で殺処分される動物。
犬猫はおおよそ半々(猫のほうが多い)ですが、猫の場合その80%が子猫です。
保健所での処分以外に山に埋められたり、川や海に流される子犬や子猫もたくさんいます。
しかし、最近、このような事実をネットや出版物、各地での公演や展示などによって多くの人に知ってもらう運動が多くなり、毎年少しずつですが上記のような子犬や子猫が減りつつあるのも事実です。
いくつかの自治体では子犬や子猫の引き取り(殺処分)を有料化して処分頭数を減らそうとしていますが、うまくいけばよいのですが、悪くすると捨てられるケースが増えてしまう可能性もあります。
そうすると、結果的にはますますノラちゃんたちが増えることになりますね。
それ以外のメリットはどうでしょう?
問題行動(オスであるがための攻撃行動や縄張りを守る行動など)が去勢によって抑えられる場合も多いでしょう。
発情期に外に出してもらえなくていらいらするストレスの軽減にもなるでしょう。
そして穏やかになる子もいるでしょう。
また、特にメス犬の発情のたびに出血し、家の中が汚れたり、あるいはオムツをしてあげたりするという飼い主さんにとっての作業やストレスも軽減されるでしょう。
メス猫が発情してにゃおにゃお大声で鳴いて夜中もうるさいとか、オス猫のスプレーで尿が非常に臭く、部屋が臭って困ることも減るでしょう。
これらのことは飼い主さんによっては非常に重大と考えられる方もおられれば、別にたいしたことではないと思われる方もおられると思います。
まだ他にもあるかもしれませんね。
とりあえず、僕の考えるメリットはこのようなものでしょうか。
他にもあれば書き込みしてくださいね。
次はデメリットへ行きます。