なかなか更新ができず、申し訳ありません。
前回に引き続き、ちょっとだけ麻酔の話です。
前回書きました麻酔による死亡率とか副反応ですが、多くの方もご存知のように、動物の種類によっても差があることが報告されています。
ただ、その報告はアメリカの報告によるものが多いため、アメリカと日本では飼われている犬や猫の種類が違うため、そのままは当てはまりません。
例えばアメリカではブルドッグがもっとも副反応が多いと言う報告がありますが、日本にブルドッグがどれくらい飼われているかとなると、かなり少数派になってしまいます。
ざっと言えば、日本では短頭種(パグ、ペキニーズ、シーズーなど)、猫ではヒマラヤンなどに副反応が出やすいと言えるかもしれません。
また、ジャックラッセルテリア、ウェスティも副反応が起こりやすいという別の報告もあります。
麻酔はまず麻酔前投薬あるいは導入麻酔薬と言われるものを皮下、筋肉内、静脈内などに注射します。
種類は様々で、獣医師は使い慣れたもの、そしてなるべく安全性の高いものを選びます。
以前では当たり前だった前投薬同士の組み合わせが、その後の研究や報告によって現在では危険なものになっているような場合もあるため、獣医師用の情報を提供してくれるネットやセミナー、勉強会などで情報を集めます。
前投薬や導入薬で動物が眠ったら、次に維持麻酔(手術のため全身麻酔を維持すること)に入ります。
手術の種類によっては数分間から、長ければ数時間もの間、動物を寝せなければなりませんから、この維持麻酔がたいへんです。
現在、維持麻酔はほとんど気管挿管によるガス麻酔によって行われるようになっています。
手術が短いものであれば、マスクによるガス麻酔であっという間に済ませてしまうケースもあるかと思います。
ガス麻酔はイソフルレンが動物用に認可されたものとしてはもっとも多く使われていると思います。
セボフルレンというもっと新しいガス麻酔も増えつつあり、逆にフローセンというガス麻酔はすでにあまり使われなくなっています。
ただし麻酔のかかり方や維持の方法など、ガス麻酔によって差があるため、新しい麻酔が出たからと言ってすぐにそっちに変更せず、獣医師が「慣れていること」も安全を維持する重要な要素になると思います。
獣医師が一人しかいない病院も多いわけですが、きちんとした獣医師ほど安全確保に神経を使ってくれていると思います。
気管挿管してあれば、呼吸が止まってもさほど慌てずにすみますし、術中の生体モニターが装着してあれば異常が出る前に気づくことができるため、1台のモニターは複数の見張り役を果たしてくれることになります。
最初に書いたように電話での料金のお問い合わせに対してここまで詳しく説明できないのが残念ですし、現在の獣医師法では「当院ではこれこれの麻酔薬や生体モニターを使用して手術をしており、料金はいくらになります。」という宣伝が禁じられています。
電話帳広告や情報誌などにそういう広告を出すことができたら、飼い主さんたちは助かると思うのですが、何故か禁じられています。
結局、結果的に「きちんとしていない獣医師を守る(そんな獣医師は存在しないことを心から望みますが)」ことになってしまう可能性があるのですが、獣医師は獣医師法によっていろいろな制限を受け、かつ、同時に守られてもいるからです。
ただ、今のところインターネットのホームページ上に載せるのは、宣伝とはみなされていないようなので、上記の内容を載せることができるようです。
なんだか変な話ですよね。
では、次回から避妊手術・去勢手術のメリットとデメリットについて考えて行きたいと思います。