普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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避妊手術・去勢手術 6

血液検査の二つ目です。

 

血液の血球以外の成分である、血漿に含まれるいろいろなものを測定することで、やはりいろいろなことがわかります。

血液生化学検査と呼ぶものです。

 

避妊や去勢手術をする前の血液検査ですから、病院によって違いはありますが、通常は肝臓や腎臓がちゃんと働いているかどうかを知ることがメインになります。

 

多くの麻酔薬や麻酔導入薬、あるいは他の多くの薬、あるいはお酒なんかもそうですが、体内に入ったものは血液に乗って肝臓へ運ばれ、そこで加工されます。

加工されて無毒になったものや形を変えたもので不必要なものは、次に腎臓へ運ばれ尿に混ぜられ、体外へ排泄されます。

肝臓のすぐ近くにある胆嚢に運ばれて胆汁と一緒に腸へと排泄されるものもあります。

 

要するに、肝臓は大きな工場であり、麻酔薬を分解してくれ、腎臓がそれを捨ててくれるということになります。

よってどちらか一方に異常が認められれば、麻酔をかけることのリスクが高くなってしまいます。

少しでも麻酔による事故を減らすためには、これらの状態を知っておくほうがより安全ということになります。

 

僕自身、ずっと以前には、健康で若く元気な犬や猫の避妊や去勢の場合、飼い主さんが血液検査を拒まれれば、血液検査なしで麻酔をかけていたこともありました。

ですが、今は100%血液検査をしています。

若いのに血液検査で異常がみられるケースも思っていた以上にありました。

 

また、ガス麻酔のうち、イソフルレンはほとんどが肺で吸収され肺から体外へ排泄される薬です。

したがって、肝臓や腎臓が多少悪くても使いやすい麻酔薬です。

しかし、麻酔導入薬や前投薬などはやはり肝臓や腎臓に頼って排泄されているため、機能が悪いときには麻酔は避けなければなりませんね。

逆にフローセンというガス麻酔薬は肝毒性がありますし、肝臓や腎臓が悪ければ使えません。

現在、使われなくなりつつある麻酔薬です。

同じガス麻酔でも内容にはかなり差が生じます。

 

個々の血液検査の項目、例えばALT(GPT)、AST(GOT)、ALP、BUN、Creなどの詳しい内容は今は書きませんが、それぞれに意味があり、意味がわかるとなかなかおもしろいので別の機会に書いて見たいと思います。

 

こうした血液の検査によって、異常がなければ麻酔に入ることになります。

もし異常が見つかれば延期したり、原因を解明して(必要なら)治療することになります。

 

避妊手術や去勢手術はあくまでも健康なときに行う手術です。

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この記事への返信
先日はコメントありがとうございました。
うちのこゆきも一昨日抜糸が済み、カサブタがあるので念の為つけていたカラーも今日はずすことができ、不自由の無い生活を送れるようになりました。

この「避妊手術・去勢手術」のシリーズは、こゆきの避妊手術で通ってきた道を改めて読んでるような感じです。
うちの獣医さんは説明にはしっかり時間をかけてくれるので、こちらに書かれている内容も「うんうん!」と納得しながら読めています。
半年ほど前に愛犬の避妊手術をした友人に手術延期のことを言うと、「血液検査なんてするの?うちのしたのかなぁ・・・?」と言ってました。
したのかしてないのかは定かではありませんが、実際、説明のない病院、説明を聞かなくてもお任せしてしまう飼い主が多いのでは、と思う今日この頃です。

Posted by TAMA | 22:15:51, Sep 24, 2006
やはり 値段で病院を決める飼い主さんは多いのが現実ですよね…。
幸い、お世話になっている病院の先生は、納得が行くまで 本などを使ったり、希望であれば検便も顕微鏡を見せてくれます。
もし引越しなどで病院を変えるときは、療法や経歴などが判らないので、ワタシの考え方に合う病院を どうやって探そうかと不安です。
Posted by わらび | 21:43:50, Sep 25, 2006
TAMAさん、おはようございます。
こゆきちゃんはカラーも取れて、無事終了、よかったですね。
確かに飼い主さんも様々で、一生懸命説明しようとしても「どうでもいいですからやってください。」と言われる方から、ものすごい細かいところまでつっこんで質問してこられる方までおられます。
以前に比べれば、きちんと説明を聞かれる飼い主さんがずーっと多くなりました。

わらびさん、おはようございます。
病院探しは多くの方が悩んでおられるところだと思います。
評判とか、実際に何度か行ってみてでないとわからないところですよね。
僕の病院にしたって、100%の方が好いてくれているわけではありません。
他へ転院されるかたもおられます。
一度来られただけで、二度と来院のない方もおられます(涙)。
相性も重要な要素になりますよね。
Posted by shu | 11:35:30, Sep 26, 2006


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