普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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Aug 30, 2006
避妊手術・去勢手術 その1

1年間を通して最も多い外科手術は避妊・去勢手術です。

避妊手術はメスに対する手術で、去勢手術はオスに対する手術ですよね。

時々、混同される方がありますので、予約時などには注意してください。

 

そして、よくある質問に、

1.本当に避妊手術や去勢手術は必要でしょうか?

2.子供を生ませたほうが自然だと思うのですが?

3.手術後は太ってしまうそうですが?

4.性格が変わると聞きましたが?

5.危険ではないのでしょうか?

6.手術前に血液検査やワクチン接種が必要なのは何故ですか?

などなど、このような似た質問を毎日のように受けています。

 

ほとんどの解答は、犬や猫の飼育書に書いてあります。

それでも一般論ではなく、「例えばこの子の場合はどうなんでしょう?」と言った質問が多いのも事実ですね。

やはり、それぞれの動物によって性格も違えば環境も違う、年齢だって違うでしょうし、健康状態も違うかもしれません。

そして、僕らが感じている大きな点はやはり飼い主さんのお考えの違いによって、一つの質問に対する答えが何種類も存在してしまうと言うことです。

 

今までも何度か出てきましたが、避妊・去勢手術をしなかったからと言って、必ずしも病気になってしまうとは限りません。

しかし、データ的には間違いなくある種の病気になる可能性は高いことが証明されています。

飼い主さんによっては病気になってしまってから治療すればよいという人と、病気の予防になるならあらかじめ健康なうちに手術をしてしまいたいという人もおられます。

 

今回から、避妊手術や去勢手術について、そのメリットやデメリットについて考えて見ましょうね。

すでに手術をしている方は、誰かお友達に相談されたときにヒントにしてもらえれば幸いですし、現在、迷っておられる方は参考にしていただければ喜びます。

 

と、ここまで書きましたが、9月の最初、私用のため、数日間書き込みができなくなります。

そのため、記事が遅れたりお返事ができなくなる可能性があります。

ご了承ください。

 

Aug 23, 2006
会陰ヘルニア

1156298186936465.jpg数年前の写真です。

 

前回の日記にあわせて載せてみました。

去勢していないオスに多い病気です。

肛門の横にある筋肉などの組織が弱くなり、本来腹腔内に存在しているはずの直腸や前立腺、脂肪組織、膀胱などがこの写真のように飛び出してきてしまいます。

当然、排便困難や、痛み、排尿困難などが起こります。

 

去勢してあるオスやメスにはほとんどないことから、雄性ホルモンによる病気と考えられています。

 

直腸や脂肪だけなら救急疾患ではないのですが、膀胱が反転してヘルニアを起こした場合、排尿ができなくなるため、すぐに対応する必要があります。

 

また、この写真のように両側性に起こることもありますが、向かって右側だけにおこることが多いです。

 

治療法としては外科的な手術になります。

手術の方法も様々な方法があります。

 

右側をなんとかしても、今度は左側に出てしまうこともあるし、筋肉が薄く弱くなっているため、同じ側に再発することもあります。

性ホルモンによる病気であると考えられているため、通常は去勢手術も同時に行います。

 

このワンコは2度にわけて左右の手術を行い、その後は安定していました。

Aug 20, 2006
肛門周囲腺腫

1156037852961647.jpgしばらく前の手術です。

 

肛門周囲腺腫。

去勢をしていないオスの老犬に見られます。

腫瘍自体は良性腫瘍ですが、これくらい大きくなってしまうと、出血したり悪臭がしたり、排便が困難になってしまいます。

 

治療法は去勢、外科的摘出になります。

 

ただ、肛門周囲腺癌という悪性腫瘍もあり、外見からは見分けがつかないので、注意が必要となります。

 

Aug 10, 2006
昨日の避妊手術は

昨日の避妊手術は妊娠後期の猫さんでした。

 

外出する猫さんのお腹が大きくなってきて、妊娠しているようだ、産まれた子猫を飼ってやることができない、捨てるのもかわいそうだし、どうか避妊手術をして欲しい、という飼い主さんの要望による手術でした。

 

このケースは決して珍しいことではありません。

繁殖シーズンには何件もあります。

本当はかわいい子猫が産まれてきて、離乳するまで飼ってもらい、なんとか誰かに譲ってもらいたいとは思います。

飼い主さんにその旨を伝えて再考していただきます。

やりたくない避妊手術だし、妊娠する前に手術をしてあげて欲しいと思っています。

 

だけど、実際に子猫たちが産まれてきても捨てられたり殺されたりするくらいなら、生まれる前に僕らの手で何とかしたほうがましなのかもしれません。

どうしてもできないとおっしゃる場合に手術をします。

 

かなり大きくなった子宮を胎児ごと取出しました。

胎児が子宮の中で動いているのを自分の手のひらに感じます。

子宮へ行く血管を縛ると子宮の色は黒ずんできて、やがて胎児は死亡します。

 

僕はこうして取り出した(胎児の入った)子宮を処分することができません。

物理的にはできるけど、やっぱり気持ち的に嫌なのです。

 

飼い主さんに親猫と一緒にお返しして、「どうか、埋めてあげるなり、火葬してあげるなりして供養してください。」とお願いします。

ほとんどの飼い主さんは「わかりました。」と言って供養してくださいます。

飼い主さんも決して好きで手術を頼まれてるわけではないんですよね。

 

しかし、たまに、露骨に嫌な顔をされて「なんでそっちで処分してくれないんですか?」と言われる方もおられます。

しかし、僕は病院で処分しません。

少なくとも生きていける可能性のある胎児を人(僕)の手にゆだねて殺したことには違いないのです。

そういう意識は持ってもらう必要があると考えます。

 

また、通常の避妊手術と違って、当然ですが妊娠中の子宮は何倍もの大きさになっており、胎児に栄養を与えるために血管は相当太くなっています。

そのため手術自体も通常に比べ危険性は高まります。

避妊手術にはメリットもデメリットもありますが、妊娠してから避妊手術を決心されるくらいなら、どうか、その前に手術を決意して欲しいと思います。

 

Aug 05, 2006
今日の避妊手術は

去年の8月、「貧血子ニャン」という日記を書いたときのにゃんこの手術でした。

 

ヘマトクリット値(血液全体に対する赤血球の体積)がたった8%しかなく、輸血や点滴で頑張った子猫。

わずか240gだった体重も2.5kgになっていた。

それでも小柄には違いないけれど。

 

先月久しぶりに来院され、ワクチンを接種。

そして血液検査も行い、先ほど無事避妊手術が終了しました。

この1年間、特に病気もなく、貧血の再発もなく、元気に育っていました。

Aug 03, 2006
看護士さんの実習生さん

今週に入ってから、動物看護士さんの専門学校へ通う学生さんが一名実習に来られています。

毎年、複数の専門学校から数人の実習生さんがこられます。

みんな将来は動物看護士さんとして仕事をしたいと言われます。

 

しかし、あいにく僕のいる地方では看護士さんたちが就職できる動物病院があまり多くなく、せっかく卒業しても都会で就職されることも多いのです。

 

また専門学校からも求人票を送って来るけれど、なかなか4月から新しい人をタイミングよく採用できることも少なく、どちらかというと年度途中であわてて求人を出すことのほうが多いのです。

現在うちで働く看護士さんたちも、一度他の仕事をしていて偶然求人があって来てくれた人たちばかりです。

 

動物病院がたくさんある都会ならどこかに就職先はあるのでしょうが、田舎だとどうしてもタイミングですよね〜ってことになってしまいます。

それでもあきらめずに「お金は要りませんから実習ということにして、働かせてください」って押しかけ就職した子もいました(笑)。

 

これから秋にかけて、今年も数人の実習生さんが来られます。

みんな頑張れ!

Aug 01, 2006
海!
1154426769859948.jpg

ずーっと更新できませんでした。

心配していただいた方もおられ、ありがとうございました。

多くの動物病院は狂犬病予防接種やフィラリア予防・検査の始まる4月から6、7月くらいまでが一年で最も忙しいシーズンです。

今年もばたばたと忙しく、ピークを越えてボーっとしておりました(笑)。

 

休みの日に、久しぶりに晴れました。

友人家族と一緒にボートを出してもらい海へ行きました。

陸からは行けないわかりにくいところに、美しい入り江があります。

入り江の奥には地元の人だけが知っている、ごろごろした石でできたビーチがあります。

僕ら大人9人、子供7人で朝から夕方までバーベキューしたり泳いだり、釣りをしたりとずっと遊んでました。

もちろん、ビールが美味かった〜!

 

海の中に潜ると(僕は泳げませんが・爆笑)、鹿らしき動物の骨(頭部から脊椎、肢など)がありました。

人の手の入らない自然な入り江は自然に亡くなった動物の亡骸を見せてくれます。

気持ち悪がる子もいれば、平気で骨をつかむ子もいます。

子供もみんなそれぞれです。

 

久々に太陽の下で遊んだら、腕と首、脚が日焼けでひどいことになってしまいました(涙)。

普段、日中はあまり屋外に出ないですからね〜(笑)。