まったくお産の知識のない飼い主さんが、ペットショップの勧めもあって遠くへメスのワンコを送り交配させた。
4才にして初産のワンコである。
いろいろ事情もあって20日間もそこにいたそうだ。
家に帰ってきてからは体調を崩し、様子がおかしかったがなんとか復活。
3匹お腹にいることもわかった。
が、出産予定の8~10日前になって突然死産した。
残りは2匹。
飼い主さんは遠くに住んでおられる。
翌日になって一生懸命駆けつけてこられたが、途中でもう1匹死産。
残る1匹は超音波で心臓が動いていることを確認した。
ワンコたちの場合、1週間以上の早産だと肺がまだちゃんと機能しないため、育てるのがとても難しくなる。
が、残る1匹も病院で産まれた。
母ワンコ、最初は子供に見向きもしなかった。
早産のわりにはお乳が張っている。
飼い主さんは母ワンコの命を最優先して欲しいと言われるし、同時にお産の知識もまったくなく気軽な気持ちで交配に出したことをとても悔いておられた。
スタッフがなんとか子犬を助けようと頑張った。
1晩過ぎると母犬も子犬の面倒をみるようになった。
人工哺乳に加えて、母犬のお乳に吸い付くようになった。
大きな声も出るようになった。
飼い主さんは、母子のために精一杯頑張りたいと、連れて帰られた。
もう一つ、妊娠後期の早産にはブルセラ症という伝染病がからんでいる可能性がある。
今ではあまり出ないようだけど、人間にもうつる伝染病。
知識のない飼い主さんはブルセラ症という名前すらご存じなかった。
飼い主さんに交配を勧めたペットショップの方もご存知なかった。
お産をさせるかどうかは飼い主さんの自由だろう。
僕もすべての場合に悪いとは思わない。
だけど、最低限の勉強は必要だと思う。
この話は今日のことではないけれど、最近、ちょっとだけ怒ってしまった症例だった。
検査に出している血液でブルセラ症が陰性であることを祈り、子犬も無事に育ってくれることを祈ってる。
頑張れ、母ワンコ、子ワンコ、飼い主さん!