ワンコやニャンコがフード以外のものを食べてしまって、胃切開や腸切開が必要になることは時々経験します。
全身麻酔をかけて開腹し、消化管を切開するのですから、リスクも伴うし、飼い主さんへの経済的負担もバカにはなりません。
内視鏡で摘出できたとしても全身麻酔は必要です。
今日、来院した動物達のうち、2つのワンニャンは、ラッキーだった症例です。
まず、数日前に1mほどのビニール紐を飲んでしまったニャンコ。
「猫キック」の記事で書いたように、紐状異物はとても危険です。
ところが今日来院したそのニャンコは1mもの紐をすべてウンチと一緒に排泄したとのこと!!
お見事でした!!
もしも一方が胃の中で団子になってしまえば、「猫キック」のニャンコみたいに胃や腸を数箇所切開しなくてはならなくなります。
よくぞ出た!!1mもの紐が!!
まじで感心してしまいました。
本人(本ニャン)は飼い主さんの心配をよそに、ケロっとしてました(笑)。
お次のワンコ。
飼い主さんのご家族(お孫さん)が食後に嘔吐してしまいました。
その吐物をすかさず飲み込んだ!
玉ねぎがたくさん入っていたようで、飼い主さんはすぐさま病院に来られました。
飲み込んでからまだ1時間も経過していなかったため、嘔吐させることにしました。
そして、数十分後、無事嘔吐。
一応、玉ねぎ中毒で起こりうる溶血と、それに伴う腎不全の説明を聞いてもらい、ワンコは飼い主さんと仲良く帰っていきました。
ボール、紐、画鋲、クリップ、針などなど、様々な異物食を経験しますが、特に今日のニャンコはラッキーだったと思います。
さて、嘔吐させる方法ですが、動物には正式に認可された催吐剤(嘔吐させるための薬)はありません。
ネットで検索すると、オキシドール、食塩、ある種の注射薬(副作用で嘔吐させる)などが出てきます。
ブリーダーさんやペットショップさんのHPや一般の方のHPにもそれらが出ていることがあります。
僕はほとんどの場合、オキシドールを使用します。
が、とても大切なことですが、オキシドールはあくまでも消毒薬であって、催吐剤ではありません。
消毒薬を飲ませることになります。
飲んではいけない薬です。
と言うことは、薬品の適応外使用ということになります。
オキシドールでの副作用は胃炎や食道炎などがありますでが、そもそも催吐剤でないものを使用して嘔吐させるわけですから、飼い主さんにしっかりとその旨を伝える義務があります。
万一副作用が出た場合、適切な処置・治療が必要となります。
食塩の場合も、もし嘔吐しなかったら高容量の食塩が吸収されるため、腎臓や心臓の悪い動物には危険なことになる可能性があります。
何かあったときのことを十分考えて、飲ませる方は責任を持って飲ませなければなりません。