普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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Nov 30, 2006
乳腺腫瘍の発生率

今日は乳腺腫瘍の摘出手術の予定でしたが、飼い主さんがうっかり朝ごはんをたくさん食べさせてしまったため(涙)、本日は中止、後日に延期しました。

 

ちょうど、乳腺腫瘍と避妊手術についての質問をいただいたので、今日の記事にしてみます。

 

2006年3月、USAコロラド州にある動物癌センターの腫瘍内科専門医の先生が来日され、腫瘍内科のセミナーが開催されました。

僕も東京、大阪とそれぞれ2日間ずつ参加して勉強してきたのですが、その時にお聞きした乳腺腫瘍の発生率と避妊手術の関連について、データだけを書いてみます。

 

僕の経験とか意見ではありません。

あくまで、専門家が長年にわたって集めた統計上のデータです。

そしてこのデータは日本のものではなくアメリカでのデータです。

 

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メス犬が生涯に悪性乳腺腫瘍を発生するリスクの推定値は2%〜20%以上と様々な報告がある。

良性腫瘍はこの2〜5倍である。

発生率と年齢の関係は、年齢とともに上昇し、6,8,10歳齢でそれぞれ1%、6%、13%である。

 

犬の乳腺腫瘍の発生はホルモン依存性であり、若齢のうちに卵巣子宮摘出術をすると発生率が大幅に低下する。

避妊していない犬と比べた悪性乳腺腫瘍の発生リスクは、初回発情前に避妊手術を行うと0.05%、初回発情後に行うと8%、2回目の発情後に行うと26%となる。

これより遅い時期に避妊手術を行っても悪性腫瘍に対するリスクは低減しないが、良性腫瘍に対するリスクは低減すると思われる。

 

猫の場合、卵巣子宮摘出術を行った時期と乳癌の発生リスクとの関連性を評価した最近の症例対照研究では6ヶ月未満で避妊した猫は未避妊の猫に比べて乳癌の発生リスクが91%低かったことを認めた。

1歳前に避妊手術を受けた猫ではリスクが86%低かった。

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セミナーの資料はもっと詳しいのですが、要点だけを抜粋しています。

 

僕の場合、避妊手術の目的はあくまで「避妊」です。

乳腺腫瘍の予防は避妊手術の結果として生まれるメリットの一つだと思ってます。

もちろん、中には乳腺腫瘍で前の子を亡くしたため、初回発情の前に避妊手術をしてくださいと言われる飼い主さんもおられます。

それはそれで間違った考えではないと思うので、上記のようなデータを信じて手術をお受けしています。

 

 

Nov 24, 2006
お誕生日メール

最近、更新しておりませんでした(汗)。←珍しいことではないですね(笑)。

 

昨日の勤労感謝の日はお休みでしたので、嫁さんとドライブがてら蕎麦など食べに行ったりと、くつろいでいました。

もちろん、朝夕の入院動物の世話がありますから、完全な全休とはなりません。

 

そして帰宅後、夕食を食べながらビールなど飲んでいると、友人から携帯に一通のメールが入りました。

「おかげさまで、今日、レオは5才の誕生日を迎えることができました。ありがとう。」との短いメールです。

 

おお、レオも5才か〜、早いな〜。

5年前、レオはまだ生後1ヶ月ちょっとの子犬でした。

ペットショップの方が連れてこられましたが、嘔吐、下痢を主症状としており、検査の結果、犬パルボウィルス感染症ということがわかりました。

 

近年、インターフェロンなどの薬や早期発見できる検査キットなどにより、以前よりは助かる例数もぐんと増えていますが、やはり厳しい病気には違いありません。

まして、ペットショップさんの売り物ワンコとなると、治療にお金をかけるわけにいかないのも仕方ありません。

 

とりあえず治療をしてくれとのことに、ほっとして治療を開始しました。

幸い連れてこられたのが早く、少しずつ回復し始めました。

 

治ったにしても、その後どうされるか心配だな〜って思っていたら、数日前に上記の友人が「犬を飼いたいんだけど、どっかにいないかな?」と連絡してきてたのを思い出しました。

これはラッキー♪

 

そこで、すぐにペットショップさんに連絡。

「病み上がりの犬を承知でもらっていただけるならこちらこそ助かります。売り物にならないし、どうしようかと思ってたところで・・・。」とのことでかえって喜んでもらえました。

処分も十分ありえるのですから、こちらもほっとしました。

 

入院中に何度かお見舞いに来た友人夫婦は、やせ細った子犬を強化プラスチックの隔離ケース越しに見るだけで、触ることも抱くこともできませんでしたが、日に日に元気になっていく様子を見て、すでに飼い主さん(というか、すでに父と母)になりきってました(笑)。

 

それから数日後、友人宅に引き取られたレオは元気いっぱいに育てられ昨日5才の誕生日を迎えました。

 

本人はそんな過去なんてまったく知りませんから、ケロっとしてます(笑)。

友人からの連絡が数日ずれていたらどうなってたか・・・、これもやはり「縁」なんでしょう。

レオはアトピー性皮膚炎などで友人夫婦や僕らを手こずらせてくれますが、これからも愛情たっぷりに育てられるんでしょう。

Nov 17, 2006
こんな日に限って

明日、明後日、大阪へ行きます。

今夜から開催される「動物臨床医学会年次大会」へ参加するためです。

以前にも書いたことがありますね。

大きな学会です。

 

明日、明後日は休診にするため、診察の必要な動物君達には、多めに薬を渡したり、信用できる近くの病院を紹介したり。

スタッフも3人一緒に行きます。

留守番スタッフや獣医師である嫁さんは2日間のリラックスディって予定でした。

 

ところが・・・、こういう日に限って、重症な動物が来るんですよね。

 

まず、本日最初の手術。

小さい時に交通事故に遭い、脊椎骨折と骨盤骨折のため、骨盤腔が非常に狭くなり、ウンチが出にくかったニャンコ。

尿も自分ではできません。

飼い主さんが毎日何度か膀胱を押さえて排尿させています。

そして巨大結腸症になっていたけど、なんとか頑張っていたニャンコ。

ついに完全に糞が詰まり、もうどうにもならなくなってしまいました。

 

結腸を切除し、盲腸の近くに一部残した結腸と直腸を吻合します。

手術自体はうまくいきましたが、骨盤腔が狭いため、残った直腸内の便が硬くなって再び詰まる可能性が高いと思われました。

前途多難・・。

 

ほっとするのもつかの間、次はゴールデンレトリバーさんの子宮蓄膿症でした。

これまた先月の半ばから(約1ヶ月前)から具合が悪かったらしいのですが、そのおうちの他のワンコが骨肉腫になり、大学病院で手術を受けたりと大忙しの日々が続き、飼い主さんもついすべてに目が行き届かなかったという状態だったようです。

 

いろいろな検査の結果、本日中に手術したほうがより安全と考え、病院が終わる時間から手術を始めました。

ビッグサイズの蓄膿子宮が摘出できました。

 

もちろん、術後の治療も大事ですから、留守番スタッフと嫁さんの休日はなくなりました。

頑張れ、結腸切除ニャンコ、子宮蓄膿症ワンコ、そして休日返上スタッフ、嫁さん(ま、一応・笑)!

Nov 10, 2006
避妊手術のはずが・・。

昨日のお話し。

 

6才前のメスワンコ。

昨日は避妊手術のご予約が入っていました。

午前中、予定通りに来院されました。

「元気や食欲はありますね?今朝は絶食・絶水されましたね?」と聞くと・・。

「それが、5日ほど前から食べなくなって、元気もなくなって・・・。」とのこと。

 

避妊手術はあくまでも健康なときに行う手術ですから、当然、手術は延期。

それよりもどうして食欲・元気がなくなったかを調べなければ。

 

いろいろ質問していくと、1ヶ月くらい前に発情があったそうです。

最近、急に水をたくさん飲むようになったとも・・・。

分娩経験のない、6才のメス犬。

 

となると、まっさきに頭に浮かぶのが子宮蓄膿症。

いままで、さんざん日記にしていますが、とりあえず超音波をお腹に当てると、水分のたまった丸い形が下腹部にぼこぼこと見られました。

 

血液検査でも白血球(白血球の中でも好中球というばい菌をやっつけてくれる兵隊さんみたいな細胞)が増加、CRP(C反応性蛋白:Cというのは炎症のこと)が測定不能値まで増加。

貧血、血小板減少もありました。

 

すぐに点滴をし、しばらくICUで酸素を吸わせ、午後から手術になりました。

 

小さなときに交通事故に遭い、手先の皮膚が剥けてしまい、指も数本骨折した子でした。

それ以来飼い主さんにとてもかわいがられていました。

今回も、飼い主さんは心配で心配で・・・。

 

今朝はほとんど元気を取り戻し、フードも少しずつ食べています。

普通の避妊手術のつもりで来院されたのに、子宮と卵巣を摘出するということ自体は同じですが、リスクは大きく違います。

 

いずれにしても早く完全復活して欲しいですね。

Nov 08, 2006
人間ドッグ

今日は自分のための人間ドッグに行って来ました。

午前中だけで終わる基本的なものです。

内視鏡検査は毎年お願いしていますが、今日の先生は上手だった〜♪

 

高血圧、肝酵素値、尿酸値、脂肪肝、胃炎など毎年ひっかるものは同じです(笑)。

メタボリックシンドローム予備軍ですね。

今年はどうでしょう。

内視鏡で軽い胃炎はあるとのこと。

また、軽度の胃食道ヘルニアも起こってると言われました。

 

ビール大好きなのでアルコールはやめられませんが、タバコは何年も前に止めました。

最近は減塩にも努めていたせいか、今年は血圧が下がっていました(嬉)。

あとは血液検査の結果を待つのみです。

 

普段ここで偉そうなことを書いているので、悪い結果だと・・・。

獣医の不養生ですね(笑)。

Nov 05, 2006
肺炎ワンコ

今日は日曜日。

朝から肥満細胞腫の手術をしました。

 

日曜日は午後からはお休みをいただいています。

ほっとするのもつかの間、その12時直前にやってきた呼吸困難のワンコ。

5日前から呼吸がおかしく、いよいよ食欲もなくなったとのことで来院されました。

診察台の上で、ヒ〜ヒ〜と努力性の呼吸をしています。

酸素が足りなくて肺が一生懸命息を続けている状態です。

 

レントゲンを撮ってみると、肺の後ろの方の部分がほとんど役に立っていない状態、水分か膿、あるいは腫瘍があるような状態でした。

血液検査からすると、おそらくは肺炎でしょうとのことで、ICUに入院することになりました。

 

ICUってよく聞かれる言葉だと思います。

「Intensive Care Unit」という言葉の略だと思いますが、もし違っていたらどなたかカキコをお願いします。

 

とりあえず、動物病院でのICUは酸素、湿度、温度、点滴などを管理でき、スタッフの目の届くところに設置された入院室(ケージ)みたいな感じにとらえています。

 

通常の空気中の酸素濃度は約21%です。

様々な原因で呼吸困難に陥っている動物に酸素濃度を増やしてあげることで、呼吸がかなり楽になります。

病気によっては劇的に楽になります。

ICUではその濃度をかなり高くすることが可能です(濃すぎる酸素も逆に害になるので、その辺はちゃんとした管理が必要です)。

 

すべての動物病院にICUがあるわけではありません。

何しろ高額な設備投資です。

 

通常のケージにビニールを張って(酸素テントと言います)、酸素を少しずつ流すだけでも大いに違います。

また、鼻の穴にカテーテルを設置し、酸素を少し流すだけでもこれまた効果があります。

 

今日の、肺炎ワンコ、かなり重症ですが、よくなるよう、みんなで頑張ります。