普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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Jan 31, 2006
下顎の結合部骨折

先日病院の花壇に置きざられていた子猫の手術を本日終えました。

 

下顎の結合部骨折という比較的よく見られる骨折です。

左右の下顎の真ん中が右と左に離れてしまう、要するに下顎の右左が独立してしまう骨折です。

そのため下顎が不安定になり食事を摂ることができなくなったり、感染を併発して膿臭がしたりします。

 

今日行なった手術法は下顎の裏側から犬歯の後ろにワイヤーを通して、左右の骨をがっちり合わせて固定するというやりかたでした。

 

ですが、交通事故などで頭部を骨折するほど打撲を受けている猫の3割から5割くらいが胸部への障害も受けていると言われるため、当然麻酔には注意が必要です。

 

今日の子猫は無事でした(嬉)。

ただ、残念なことに左の前足はもう自分では動かすことができなくなるかもしれません。

早く自分から食事ができるようになるのが楽しみです。

 

この子猫を保護した翌日にも別の猫が交通事故で運ばれてきました。

こちらはちゃんと飼い主さんが連れてきてくれましたが、やはり交通事故は嫌ですねえ・・・。

Jan 26, 2006
気持ちはわからなくもないけど・・。

    1138267433997795.jpg                                                    今日、病院の花壇の中に、5ヶ月くらいの子猫が捨ててあった。

 

交通事故にあった猫のようで、下顎が折れ、鼻や口から血が流れていた。

左の前足は動かなく、痛覚も消失している。

骨折はないので、おそらく神経が切れるなどの障害を受けてしまっているようだ。

 

この花壇は5,60cmの高さがあるので、歩けない猫が自力では登れない。

誰かが置いたのは明らかだ。

 

事故にあって怪我をしている猫を見つけた人が置き去りにしていったのか、轢いた本人がせめてもってことで置いていったのか、誰が連れてきたのかはわからない。

 

怪我をしているし、少なくとも顎が折れているため食事もできないわけで、捨て場所として動物病院を選ぶ気持ちもわからなくはない。

だけど、やはり無責任な奴だと思う。

僕らも見捨てるわけにはいかないので、治療や世話が必要になる。

金銭的な面もバカにはならないけれど、世話をするスタッフたちも自分の時間を犠牲にして助けようとするだろう。

僕らが保健所に連れて行って処分してもらっても法律的な問題は何もないけれど、僕らの心にはずっと傷が残るだろう。

 

捨てた奴の気持ちはわからないでもない。

でもやっぱり卑怯者。

もう一つだけ強い勇気を持って表玄関から病院に連れてきて欲しいなあ・・・。

 

年に一度や二度ではないのだから・・・。

 

Jan 22, 2006
猫の巨大結腸症

1137891040326403.jpg昨日は避妊手術だけの予定が、突然、帝王切開や膀胱切開が入ってきて、大忙しだったのに、今日は何故かとても暇(笑)。

 

何年か前のレントゲン写真を整理しながら、珍しく2日連続で更新してみることに(笑)。

 

このレントゲン写真は猫のお腹です。

写真の上が背骨で、右側に骨盤が写っています。

その骨盤の方へ左下からごろごろといくつもの塊が続いていますが、これがウンチの塊です。

 

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Jan 21, 2006
精巣の腫瘍

1137834688454238.jpg2,3日前の症例。

 

中型オスワンコの精巣が腫れたと来院された。

どれどれ?と、見てびっくり。

 

すごい大きさでした。

右側のは萎縮して小さくなってしまった精巣。

 

決してかわいがっておられないわけではない。

それなりにかわいがっておられるのだ。

 

陰茎横の皮下の陰睾であり、普段から玉玉が一つしか見えなかった。

外で飼っておられ、お腹の下を覗き込む機会がほとんどなかったため、こんなになるまで発見が遅れてしまった。

こういうケースではやはりうちの中で飼ってもらっていて、いつも体を触ってもらっている動物や、外で飼ってあってもしょっちゅうなでられたり触られたりしている動物のほうが圧倒的に病気の発見が早い。

普段からのスキンシップはとても大切なんだと思う。

 

現在病理検査の結果を待っているところ。

ワンコはすこぶる元気である。

Jan 18, 2006
下顎口唇部の抉出

1137544565984141.jpg外出して2,3日してから帰ってきたニャンコ。

 

口を閉じているのだけれど、下顎の皮膚が顎からはずれてしまい、喉のほうに垂れ下がっている。

 

高いところから落ちて顎を地面についたとか、走っていて急に止まって下顎がアスファルトに強くあたったまま擦れたとかで、このように下唇が骨から剥げてしまったニャンコが時々来院する。

 

治療自体は外科手術で治るのだけど、見るからに痛々しい。

 

Jan 11, 2006
勉強会でした。

今日は近隣の先生達との月に一度の勉強会の日でした。

順番に発表者がテーマを決めて、セミナー形式で勉強をしています。

みんなその日の診療が終わってからだから、体力的にはけっこうハードになります。

たいへんだけど、とてもいいことだと思っています。

自分の知らなかったこと、不足していたことを学ぶことができるし、教えてもらうことができるのです。

逆に教えてあげることもできるのです。

結果的には少しでも病気が治る動物が増えることになります。

 

僕のこのブログのことは勉強会の先生達には教えていないけど、最近書き込みの多い門脈シャントや出産のことなども複数の獣医師達の意見を聞くことができました。

僕一人の頭よりも複数の頭脳が集まったほうがいいに決まっていますよね。

 

今年も頑張りたいと思います。

 

書き込みをしてくださる皆さんのところへなかなか遊びに行けないのが本当に申し訳ないと思ってます。

ほんと、お許しください。

なるべく見ています。

 

Jan 06, 2006
不本意な妊娠・難産

どうしようもない病気や事故、また注意すれば防げたかもしれない事故、偶然発見できた病気などいろいろな病気や事故があるけれど、年明け早々に来院したその子は間違いなく被害者(犬)だった。

 

まだ1才にもならないメスのワンコ。

前日の夜中にお産が始まったが、胎児が大きすぎて出てこずに、飼い主さんが一生懸命引っ張って分娩させた。

その後、母犬はまだ生むような仕草をしていたようだが、朝にはかなりぐったりしてしまった。

 

朝一番での来院時には立つこともできず、頭を上げるのがやっと。

だけど飼い主さんの呼びかけには健気に尻尾を振って応えていた。

 

レントゲンではお腹にもう一匹、かなり大きな胎児がいた。

超音波ではすでに胎児の心臓は止まっていた。

 

血液検査では、腎臓、肝臓など数値が上昇しており、危険な状況ではあったが、しばらく点滴をし、帝王切開を行った。

子宮の一部は壊死し破れており、腹水が溜まっていた。

通常の帝王切開というわけにはいかず、子宮ごと取り出した。

 

手術は終わり無事麻酔からも醒めたけど、今日もまだ元気も食欲もなく入院している。

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