どうしようもない病気や事故、また注意すれば防げたかもしれない事故、偶然発見できた病気などいろいろな病気や事故があるけれど、年明け早々に来院したその子は間違いなく被害者(犬)だった。
まだ1才にもならないメスのワンコ。
前日の夜中にお産が始まったが、胎児が大きすぎて出てこずに、飼い主さんが一生懸命引っ張って分娩させた。
その後、母犬はまだ生むような仕草をしていたようだが、朝にはかなりぐったりしてしまった。
朝一番での来院時には立つこともできず、頭を上げるのがやっと。
だけど飼い主さんの呼びかけには健気に尻尾を振って応えていた。
レントゲンではお腹にもう一匹、かなり大きな胎児がいた。
超音波ではすでに胎児の心臓は止まっていた。
血液検査では、腎臓、肝臓など数値が上昇しており、危険な状況ではあったが、しばらく点滴をし、帝王切開を行った。
子宮の一部は壊死し破れており、腹水が溜まっていた。
通常の帝王切開というわけにはいかず、子宮ごと取り出した。
手術は終わり無事麻酔からも醒めたけど、今日もまだ元気も食欲もなく入院している。
飼い主さんは良い人である。
去年の春に捨てられているのを拾ってこられ、ワクチンもフィラリアもきちんと予防されている。
車庫で飼っておられ、そろそろ避妊手術をお考えのころに初めての発情が来てしまい、そこで妊娠してしまった。
お相手は飼い犬である。
体格も倍もあろうかというオスワンコだったそうだ。
田舎では時々あることだけど、繁殖シーズンになるとオスが騒いでうるさいからといって夜になると外に放す人がいる。
人の迷惑をこれっぽっちも考えていない。
病院でも当然のように「やかましいから夜は外に放しています。」と言われる人がいるから驚きだ。
今回の飼い主さんたちは相手の家もわかっているのだけれど、ご近所づきあいもあるからと、おそらく文句も言われないだろう。
大切に飼われていたのに、まだ1才にもなってないのに・・・。
まったく年明け早々やるせないなあ・・。