前回のワンコのお話の続きです。
現在、連れてきてくれた人のおうちで暮らしています。
そのうち、様子を見せに病院に連れてこられると思います。
さて、初めて病院に連れて来られたときの危篤だった状態は書きました。
食事をほとんど与えられず、非常に痩せ衰えた状態だったので、低血糖状態であるのは間違いないと思いましたが、すでに糖分を飲み込むこともできませんでした。
たとえ飲み込んでも胃や腸が運動して、消化吸収するためにもエネルギーが必要となります。
そのエネルギーの素となるものがブドウ糖です。
例えば人間の場合、エアロビクス運動を20分以上続けると、血液中や肝臓に蓄えられているブドウ糖が消費され、その代わりに脂肪がエネルギーとして使われるそうですね。
ですから脂肪を消費してやせることができるということになります。
飢餓状態が長く続くと、まず体内のブドウ糖が消費されてしまいます。
補充されないわけですからつぎに必要なエネルギー源として脂肪が分解され始めます。
そしてその脂肪もなくなるとついには筋肉が消費されてしまいます。
このワンコはその筋肉も限界にきていたわけで、欲しいはずの糖分を飲み込む力もなかったわけです。
注射というのは便利なもので、直接体内にエネルギーであるブドウ糖を与えることができます。
数時間で顔を上げることができるようになり、なんと翌日にはよろよろと立ち上がるようになりました。
連れてきてくれた人は、最初の日と翌日は、切なさと悲しさ、ワンコの生きようとする力、どんどん回復して行く姿を見て泣いてばかりでした。
そのワンコをどうするか・・、実際、最大の問題ですよね。
少なくとも法的には前の飼い主さんの許可か承諾が必要になります。
あるいは動物虐待で訴えるなどすれば、合法的に保護も可能かもしれません。
でも、その日や翌日は正直言ってそんなことはどうでもよく、とにかく助けたい、助かって欲しいという気持ちでいっぱいでした。
また回復してきたワンコの目が実に上手に物を言うのです。
何ともいえないかわいい目で、病院のスタッフも連れてきてくれた人もすっかり魅了されていた感じでした。
前の飼い主さんにどうしようもない事情があったにせよ、生きている動物に食餌を与えずに放棄することは許されることではありません。
しかし、不思議と今回はそんなことが気にならないのでした。
すると、連れてきてくれた人が「私、電話します。何が何でも私にもらいます。」とおっしゃいます(笑)。
子供さん同士は知り合いでも、親は知らない、まして、事情があって家を出ておられる方に電話してワンコの状況を話し、自分が育てると言うのには勇気も必要でしょう。
「今日、電話してちゃんと話してみますから!」と言って帰られました。
その人のご家族もワンコを飼うことに賛成なのかすらわかりません。
強い人なのか、ワンコに魅了された勢いなのか、いずれにしても翌日の報告を待つことになりました。