ずっと更新できずにいました(汗)。
4月になると動物病院は忙しくなります。
狂犬病予防接種とフィラリア予防のシーズンが始まるからです。
僕の病院も例外ではありません。
しかも今まで獣医師4人でしたが、独立開業のためと家庭の事情のために二人の獣医師が辞めました。
現在、僕と嫁さんの獣医師二人体制です。
まだシーズンが始まったばかりですが、これからどんどん忙しくなっていくんでしょう・・。
今までのように他の先生に診察業務を任せ、僕はパソコンの前に座って日記を書くなんて裏技はできなくなりました(笑)。
さて、そんな大騒ぎのさなか、忘れることのできなさそうなワンコが来院しました。
なんとか時間をみつけて日記に残したいと思います。
その子の家庭は飼い主さんご夫婦が何らかの事情で別居されてしまい、だれも世話をしてくれなくなり、長い間食事も水も取れなかったようでした。
本来、6〜7kgあるはずの体重が2.7kgしかなく、まさに骨と皮だけといったような状態でした。
人間的に言うと6〜70kgの体重の人が、食事を与えられずに27kgになって発見されたという感じです。
横たわったまま身動きができず、すでに身体は硬直し四肢は冷たくなり、体温計では測定不能なほど体温も低下していました。
呼んでも意識はなく、ときどき、ピクッ、ピクッと小さな痙攣がきていました。
口の中に糖液を垂らしても飲み込む力もなく、脱水のため目は眼窩内に落ち込んでいました。
今、まさに死につつあるというところでした。
身体を温めながら、なんとか静脈に留置針を通し、水分とブドウ糖の補給を始めました。
痩せ衰えた身体でしたが、まだ生きようとする力が残っていたんでしょう。
数時間後には頭が上がるようになりました。
連れて来られた人は、ワンコのおうちのお知り合いです。
子供さん同士が友人とのこと。
おうちの子供さんはなんとか自分でワンコを助けようとはされていたようですが、限界だったようで友達に相談したみたいです。
連れて来られた人は、「私は動物が嫌いです。でも子供に頼まれて見に行って、こういう状態を見てしまったら放っておくことができませんでした。動物嫌いの自分がこんな気持ちになるなんて。」と、おいおい泣いておられました。
「もしも元気になってくれたら、これからは自分が飼おうと思います。」とのことでした。
放置されたら間違いなく死んでいるワンコですから、そう言って救っていただけたこと自体ありがたいことではあります。
しかし、現実的には元の飼い主さんへのお断りもなく勝手に連れてきておられますし、様々な難しい問題が残っています。