動物病院には交通事故をはじめ、野生の動物や鳥、捨て猫や野良猫など、たくさんの「飼い主さんのいない動物たち」が運ばれてくる。
また、動物を動物病院に捨てていく人も後を絶たない。
病院に捨てて行く人はせめて動物病院ならなんとかしてくれると思っておられるのだろう。
怪我をしている動物を自分の車が汚れるのもいとわずに病院に運んでくれる人、本当に頭が下がる。
しかし、ここからが僕らの頭が痛いところなのだ。
せっかく連れてきてくれた動物を治療し、なんとか命が助かったとして、その動物のその後の生活を引き受けてくれる人は全体からの割合からするとごくわずかなのだ。
ほとんどの人が、かわいそうだから、見捨てることができなくて、とりあえず連れてきましたというケースになってしまう。
昨日の日記のワンコもそうだった。
連れてきてくれた方は実際にすばらしい方であり、車も相当血で汚れただろう。
だが、飼うことはできない、お金も払えないとのことだった。
最初に断られた病院も意地悪で断られたわけではないと思う。
治療後は飼ってもらえるのか、治療費はどうするのかなど現実的なことが発生してしまう。
年に数匹ならどこの病院でもなんとかなるだろうけど、実際はたいへんな数の「飼い主さんのいない動物たち」がやってくる。
特に野生鳥獣の場合はしっかりした隔離施設を持たない限り、ジステンパーをはじめ、伝染病はもちろん、ノミやダニ、消化管内寄生虫などを多量に持っている場合が多いから危険だ。
飼い主さんからお預かりしている動物たちに、伝染させるわけにはいかない。
残念ながら現在の日本ではそういう飼い主さんのいない動物たちを保護するための法律や施設がほとんどない。
一部の動物病院や、大勢の方々のボランティア的な助けがなければ到底すべてを助けることはできない。
見捨てることもできず、助けることもできずの状態なのだ。