先日の手術で取り出した多量の結石の分析結果が来ました。
「リン酸アンモニウムマグネシウム 95%」とのことでした。
リン酸アンモニウムマグネシウム結石、すなわちストルバイト結石が95%を占めていたということです。
100%ではありませんね。
そうすると残りの5%は何でしょう。
それは膀胱の上皮細胞や血液、細菌などです。
この子の場合、術前に尿検査をしても結晶が見えていませんでした。
しかし、結石の正体はストルバイトだったということです。
すなわち、尿検査をした時点では、何らかの理由でストルバイトの結晶が見えないような条件下にあったということです。
例えば、これだけの結石ができるにはある程度の期間が必要ですから、当時食べていたフードと現在食べているフードが異なっていたため、検査の時点では結晶が産生されていなかったとか、いろいろ考えられますね。
言葉の上で、結晶と結石がごちゃ混ぜになっている人も多いかと思いますが、まず、尿中に結晶ができて、その結晶が細菌や上皮細胞などにくっつき始めて次第に大きくなってできたものが結石です。
また、特にストルバイト結石の場合は、ある種の細菌の存在が原因となっていることが多いので、しばらくは抗生剤でしっかりと細菌退治をしなければなりません。
本来、膀胱穿刺をして膀胱から直接尿を採取して細菌培養に出して、感受性のある抗生剤を調べてもらってから使うのが確実ですが、ある程度尿路感染に効果がある抗生剤はわかっていますので、今回は培養まではしませんでした。
本当は手術の時に直接膀胱から尿を採取しなければいけなかったのですが、結石を取り出すことばかりに頭が向いていて、採尿を忘れていたことには反省しています。
とりあえず本人は元気で抜糸も無事に終わり、時々尿検査に来院してもらうことになっています。
肉眼では確認できないような小さな結石がまだ膀胱内に残っている可能性もありますので、しばらくは結石を溶かす処方食を食べさせてもらいます。
その後は尿検査をしながら、結石予防のための処方食が必要かどうかを決定していく予定です。