普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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猫白血病 3

ずっと更新できずにおりました・・・。

検査についてちょっと補足です。

 

動物病院でおこなえる検査は検査キット(ELISA法)を使用します。

かなり正確ではありますが、完全に100%ではありません。

どうしてもグレーゾーン(白黒はっきりしない部分)が存在してしまいます。

また、検査キットも数社から出ているため、まれにですが、キットによって陽性であったり陰性であったりすることがあります。

 

うちで経験したことですが、ある9才の成猫が猫白血病ウィルス陽性との検査結果が出ました。

これは検査機関に検査(ELISA法)してもらった結果です。

しかし、その猫は今まで何度もうちの検査キット(ELISA法)で検査しており、ずっと陰性でした。

また、その猫は外にも出ず、症状も無く、しかも6才くらいまでは猫白血病のワクチンを毎年接種してありました。

 

最初の検査から半年後、再び同じ検査機関で検査(ELISA法)してもらったところやはり陽性でした。

つまり持続感染になっている疑いが濃厚であることになります。

しかし、同時に同じ血液を用いて当院の検査キット(ELISA法)で調べると陰性でした。

 

そこで、次に、複数の別の検査機関にお願いして、ELISA法、PCR法、IFA法など複数の検査を同じ血液を使って調べてもらいました。

すると、一社のPCR法で陽性(PCRはこの一社のみで実施)。

あとは全部陰性でした。

納得いかないため、再びPCR検査を要請。

すると今度は陰性でした。

 

結局、一社の検査キットのみが陽性。

あとはすべて陰性。

 

その猫の今までの予防歴、生活環境、既往歴、そして多くの検査結果が陰性であったことなどから、陰性と判断しました。

しかし、いずれもう一度検査してみるつもりです。

 

個々の検査法の内容は難しくなるので書きませんが、それぞれに一長一短があります。

あきらかに猫白血病ウィルスに感染しているような症状や環境にいる猫の場合は、検査で陽性であった場合、そのまま納得できますが、どう考えても陽性であることが考えにくい猫の場合、上記の猫のように複数の検査機関で違う方法で検査をしてみられるのも一つの方法だと思います。

 

もちろん、一回目の検査で陽性、陰性どちらであったにせよ、猫白血病1で書いたように、期間をおいて、もう一度検査してみなければなりません。

 

現在、持続感染になっているかどうか、もっとも信頼性の高いと言われている検査はIFA法のようです。

 

また、JBVP代表の石田先生がこんなページを作っておられました。

まだ見ておられない方は参考にしてくださいね。

 

猫のウィルス病公式サイト

http://www.catvirus.jp/home/index.html

 

 

 

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この記事への返信
諸事情でご無沙汰しておりました<m(_ _)m>

やはり検査キットでも違いが有るのですねぇ…。
逆に言えば、陰性であっても「そのキットだけが陰性」ということも考えられるということですよね。

お母さんが陽性だったら、子供を一生懸命に可愛がれば可愛がるほど感染する…悲しい病気ですね。
Posted by わらび | 16:30:38, Jul 05, 2006
なんだか、検査キットが信用できなくなっちゃうような結果ですね。同じ血液を使って、白黒出てしまうなんて・・・
とことん追求されたshu先生もすごいし、飼い主さんもすごいと思います。
Posted by TYCHO | 21:06:38, Jul 05, 2006
わらびさん、こんばんは。
こちらこそご無沙汰しておりました。
ほんと、おっしゃるとおり悲しい病気です。
お母さんは自分の病気のことなど何も知らず、一生懸命わが子を育てます。
その結果、怖いウィルスをうつしてしまうのです・・・。
悲しいですね・・。
だからこそ、それを理解できる人間は、不幸な子猫たちを増やさないようにしなければならないと思います。

TYCHOさん、こんばんは。
そうなんですよね、信用できなくなりそうな・・。
だけど、これはどうしようもないことなんです。
感受性を高くすればグレーも黒になり、感受性を甘くすれば黒が見逃されることになります。
検査キットを開発される技術者の方々も苦労が多いと思います。

誤解があってはならないので書き加えます。
僕が「すごい」と思われては困ります(汗)。

実は、その猫は僕の猫です。
しかし、自分の子かわいさに真実を追求したのではありません。
その猫は子猫のときに拾い、その後数年間にわたり病院内で飼っていました。
そして、幾度となく輸血のための供血猫としてたくさんの貧血猫たちの命を救ってくれた子なんです。
感謝しても感謝しきれない猫なのです。

歳を取ったので引退して、今は僕のうちで家族とともに平和に暮らしています。
たまたま学術的調査に協力したウィルスの検査に引っかかってしまったのです。
しかし、もしも本当に猫白血病ウィルス陽性ということになると、過去に輸血をした他の猫たちにウィルスを感染させている可能性があります。
実際は輸血をするので、かなり頻繁にウィルス検査をしていました。
そのたびに陰性であったのに、今回このような結果が出たため、正直びっくりしたのです。
家族はショックを受けましたが、冷静に考えると「おかしいぞ、そんなはずはない」と感じました。
それでいろいろな検査センターに検査を依頼したのです。

結果的には陰性と判断しました。
なぜなら、どう考えても陽性となるような背景がなかったからです。

今まで自分が普通にやってきた検査を自分で否定することになりかねません。
検査を依頼した検査センターさんや、今回間違った結果となった検査キットメーカーさんなども混乱されたかもしれません。
だけどやはり、こういうこともあり得るんだということは認識しておく必要があると感じました。

しかし、逆のことも起こりえる可能性はあります。

検査は非常に大切であり、僕らにとっては病気を診断する上で非常に頼りになるものです。
だけど、必ず、臨床症状、飼育環境、既往歴などなど数値以外の情報がとても大切だと再認識した経験でした。


Posted by shu | 23:10:02, Jul 05, 2006
そうだったんですか・・
うちのシャントの犬たちも病院や友人のワンちゃんたちに血液をいただきました。ありがたいことだと思います。
 
検査の精度が上がれば上がったで、判断が難しくなることもあるのですね。

>、臨床症状、飼育環境、既往歴などなど数値以外の情報がとても大切

本当にそうだとおもいます。「かかりつけ医」を決めておくと、そういうデータがきちんと残っているから安心ですね。
Posted by TYCHO | 10:53:39, Jul 06, 2006
はじめまして!ランキングで見つけてこちらにきました。全部興味深くて、最初から一気に読ませていただきました。
私は今、猫を飼うために引越しをしようとしている最中です(ペット不可なのです)。猫が飼えるのは当分先だと思うのですが、今のうちからしっかり色んなことを知っておくのは大切だなぁと思いました。無知と素人判断ほど怖いものはないですよね…
これからも楽しみにしています。
あと、リンクさせていただいてもよろしいでしょうか?
Posted by うさ福 | 11:05:48, Jul 06, 2006
TYCHOさん。
そうです、今までのデータは頼りになります。
やむを得ずに転院されるようなことも起こりうるわけですから、飼い主さんたちも今まで出されていた薬が何かわからなかったり、血液検査の結果をお忘れになられたりがないように、メモや結果の紙などをきちんとまとめておかれると僕らも助かります。

うさ福さん、はじめまして。
最初から一気に・・・、ありがとうございます。
HP拝見しました。
内緒で飼うよりも、ペット可のマンションで気兼ねなく飼う、そのほうが飼い主さんも猫さんもより幸せになれると思いますよ。
引越しも、猫さん探しもたいへんでしょうけど頑張ってください。
リンクの件はどうぞよろしくお願いします。
Posted by shu | 15:16:48, Jul 06, 2006
初めまして。
猫白血病について調べていてこちらのサイトにたどり着きました。
様々な病気についてとても丁寧に説明されていて、大変勉強になりました!

猫白血病についてお尋ねしたいのですが、生後2ヶ月くらいで検査をしても正確な結果はやはり出ないのでしょうか?
実は近々子猫の社会化教室(パピーパーティーの猫版です)を開催するつもりなのですが、参加条件について困っているのです。。。
参加子猫(8〜14週齢)の条件として猫白血病・エイズ陰性を条件の1つにするつもりだったのですが、何人かの獣医さんに相談したところ「白血病はその週齢ではたとえウイルスを保持していても検査で引っかからない」と言われてしまいました。
これは猫エイズにおいても同じでしょうか?
もし白血病やエイズウイルスを保持しているか正確に分からないのならば、子猫を一ヶ所に集めて遊ばせたり等といったことはやらないほうが良いのでしょうか??

長々と申し訳ありません。
ご回答をいただけると大変助かります。
もし子猫の社会化教室を開催する場合、参加子猫に対してあらかじめ調べておかなければならない検査等があればアドバイスをいただけると嬉しいです。

お仕事頑張ってください!
Posted by 菊弥 | 18:19:54, Jul 29, 2006
我が家では4匹の猫を飼っているのですが、
そのうち、昨年の9月に生まれた子猫が感染しました。
マンションでの室内飼いで他の3匹は陰性。。。

推理小説のような感染経路を考えていってたどり着いたのは、
生後3ヶ月の時に1週間旅行にいってお願いした
ペットシッターさんです。
電話で「食器が足りなかったから、自分のところのを持ってきて使った」と仰ってたのを思い出しました。
非常に可能性は低いですが、それしか考えられません。

4月に発病し、一時は血液の量が8%まで落ち、
輸血を2回しても持ち直さず、、
もうダメだと泣き暮らしましたが、

インターフェロン
ステロイド
プロポリス、初乳、ササエキスと免疫療法も併用して、

昨日で血液量32%、ウイルスも陰性になりました。

本当にもうだめだと思っていたので、とても嬉しいです。
ウイルスについては、慎重にケアしなければならないので、
また3ヵ月後くらいに検査しようと思いますが、
今は真っ白だった肉球も鼻もピンク色ですごく元気です。

ここまでひどくなって持ち直したのは、
本当に珍しいと思います。
Posted by まいきぃ | 01:01:15, Aug 01, 2006
返信が遅れて申し訳ありません。

菊弥さん、はじめまして。
病院でできる検査(ELISA法)では、感染後3〜4週間たたなければわからないと書きました。
逆に言えば、感染後3〜4週間たっていれば、検査で陽性と出るということになります。
したがって、子猫の週齢より、いつ感染した可能性があるかが大切になると思います。
両親のはっきりしている子猫か、捨て猫か、いつまで母猫と一緒にいたか、母猫は白血病を持っているか、などによって違うと思います。
母猫が猫白血病陰性の飼い猫で、室内で育っている子猫ならまず感染の心配はありませんよね。
逆に捨て猫で感染後間もない子猫なら、その時点での検査結果が陰性であっても3〜4週間後には陽性になっているかもしれません。
また、感染していてもウィルスが唾液中に排泄されるようになるまでには感染後8週間以上かかるようです。
感染にはよほどの濃密な接触・グルーミングが必要です。
子猫教室で感染する確立は低いと思いますが、感染のわかっている子猫の参加はやはり無理でしょうね。

猫エイズウィルスについては、その年齢での感染はまれだと思いますが、前の記事を参考にしてください。

そのほか、検便を数回行って、消化管内寄生虫は確認しておかれたほうがよいでしょう。
また、飼い主さんの家に来てから最低でも1週間以上様子をみてもらってからにしてくださいね。

まいきぃさん、こんにちは。
たいへんなご様子でしたね。
何はともあれ、持ち直してくれて嬉しく思います。
再検査でも陰性であることを祈っています。
また、これからも元気でいてくれますように。
Posted by shu | 12:16:47, Aug 01, 2006
大変丁寧なご回答ありがとうございます!!
もしかしたら無理かもしれない・・・と落ち込んでいたところなので、前向きに考えられるアドバイスで自信がでてきました!!
白血病については、ウイルスを保菌していても感染後8週間経っていなければ周りにうつすことはない・・・と考えて良いということでしょうか?

何度も質問をして申し訳ないのですが、相談した獣医さんの1人から『検便も生後2ヶ月では結果が上手く出ないかも』と言われました。
血液検査はともかく検便なら出来ると思っていたのですが、これって本当なのでしょうか?
Posted by 菊弥 | 13:43:20, Aug 01, 2006
菊弥さん。
猫白血病ウィルスを保菌していても、感染後8週間経っていなければ周りにうつすことはない・・・、についてですが、ちょっと調べなおしました。
ちょっと間違いもあったので、もう一度整理してみます。
獣医内科の専門書ですが、参考文献はやや古いものです。

猫白血病感染症の病期を機銑佐に分けます。
鬼はウィルスが口や鼻に近いリンパ節で増殖する時期。
 2〜12日間です。
 この時期にELISA検査では陰性となります。
挟は体内の血液中の単球、リンパ球を通して播種(体のあちこちに飛んでいく)されます。
 2〜12日間です。この時期の検査では陽性となります。
郡には脾臓、リンパ節、消化管リンパ組織で増殖します。
 2〜12日間です。検査は陽性(以後、陰転するまで陽性)。
鹸に骨髄細胞などで増殖します。
 2〜6週間です。
拘には感染した骨髄細胞由来の好中球、および血小板を通して播種。
 4〜6週間です。
佐には涙腺や唾液腺などの上皮細胞に感染し、ウィルスが涙液、唾液中に排泄されます。
 4〜6週間です。

すると、感染からウィルスが唾液中に出てくるまで最短で2日+2日+2週間+4週間となり、6週間ちょっととなります。
計算間違いをして8週と書いてしまいました。
しかし、本当にこの時期になるまでは周りにうつさないのかと言われれば、正直言って自信がありません。
毎年新しい研究が行われ、次々と論文が発表されています。
常にあちこちから最新情報を集めてはいますが、どうしても限界があります。

前にも書きましたが、JBVP(日本獣医臨床フォーラム)という信頼のできる団体のHPに、飼い主さん向けの質問コーナーが設けてあります。
主催の石田先生は猫のウィルスの専門家なのでそちらで質問してみられたほうが、最新で正確な情報を教えていただけると思いますよ。

検便については、2ヶ月齢でも普通に行っています。
Posted by shu | 14:58:51, Aug 01, 2006
わざわざ調べなおしてまでいただき、本当にありがとうございます。
とても丁寧なご説明で分かりやすかったです。

JBVPにも改めて質問をしてみます。
本当にありがとうございました!

これからも覗かせていただきます。
お仕事頑張ってください☆
Posted by 菊弥 | 20:21:25, Aug 01, 2006
菊弥さん、こちらこそありがとうございました。
Posted by shu | 10:16:26, Aug 02, 2006


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