普通の動物病院の診療日記

November, 2010
-
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
-
-
-
-
PROFILE
shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

MYALBUM
CATEGORY
RECENT
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
ARCHIVES
LINK
SEARCH
PR




猫白血病 2

さて、感染した時の年齢によって、予後が大きく変わります。

文献によって多少差はあるものの、おおむね以下のようになります。

いくつかの文献や本から拾ってきたものです。

 

・新生子期に感染したもの

 ほぼ100%が死亡。

 あるいは70-100%が持続感染になる。

 

・離乳期(生後1〜1ヵ月半)に感染したもの

 50%が治癒。

 

・8〜12週齢に感染したもの

 30〜50%が持続感染になる。

 

・4ヶ月齢を超えてから感染したもの

 90%が治癒。

 

・1歳以上の成猫になってから感染したもの

 10〜20%未満が持続感染になる。

 

執筆された年や研究者によって若干の違いはありますが、ほとんどの場合、小さい(若い)頃の感染は致死性が高く、成猫になると90%近くが助かるという結果になっています。

 

持続感染になってしまった場合、感染後2年で63%が、3.5年で83%が亡くなるという研究報告があります。

 

持続感染になる前に見つかれば、インターフェロンなどによって免疫力を高める治療を行えるので、少しでも陰転させることができるよう、多くの猫たちがウィルス検査を受けられることが望ましいと思います。

 

急性感染を乗り越えたものの、残念ながら陰転せずに持続感染期に入った場合、発症するまでは一見健康であるかのように見えます。

しかし、検査では陽性となります。

このような場合はなるべく発症させないようにするため、ストレスを与えない生活をさせるようにしましょう。

特に、妊娠・出産はストレスの面からも、母子感染の面からもやめさせなければなりません。

 

次回、検査についてもう少し書いてみたいと思います。

スポンサード リンク


この記事への返信
つつじとマリーはいつの時期に感染したんでしょうか。
お母さんからということは新生子期に感染したんですよね?
でもそれだとほぼ100%が死亡するんですね。
ということは離乳期に感染したんでしょうか。
50%が治癒するんですものね。


どちらにしても、早く発見して、治療ができてよかったです。
こうやって改めて読むと、本当に怖い病気ですね。
エイズよりも怖い感じがします。
Posted by まきっころ | 10:42:20, Jun 23, 2006
エイズや白血病の事がよくわかり勉強になりました。
レトロウィルスというのは、これらとはまた別なのでしょうか?
違いがよく分からないのですが・・・。
Posted by まっちゃん | 07:46:07, Jun 24, 2006
まきっころさん、おはようございます。
つつじ&マリーちゃんたちはやはりお母猫さんからの感染しか考えられませんね。
一緒に暮らしていた間のどの時期に感染が起こったか、ということになると思います。
子宮内にいる胎児期の感染だと、生まれてもほとんど育たないようです。
生まれてから離乳までの間に毎日舐められていて、別れる最後の頃に感染しちゃったのでしょうね・・。

まっちゃんさん、おはようございます。
猫エイズウィルスや猫白血病ウィルスはどちらもレトロウィルスという種類のウィルスです。
動物にもイヌ科とかネコ科とかあるように、ウィルスも「科」とか、さらにその中の「属」とかで種類分けされています。
どちらも同じレトロウィルス科のウィルスということです。
Posted by shu | 09:16:40, Jun 24, 2006
とっても詳しいお話、ありがとうございます。
ちゃんと理解したいと思い、エイズのところからプリントアウトして、ノートにまとめてみました。
すると、母子感染は白血病に限られ、エイズは母子感染はないと考えていいのですね。
また、陰転も白血病についてのみあることなのでしょうか?

実は、知人が3匹の兄弟仔猫を保護し、1匹はすべて陰性、2匹がエイズ陽性でした。噛まれた傷は確認できなかったのですが、やはり2匹は噛まれた可能性があるということなんですね。
Posted by ぽぽにゃん | 00:50:35, Jun 25, 2006
詳しく教えていただいて有難うございます。口内炎が気になる猫がいるのでウィルス検査をしてもらったら、エイズも白血病も陰性でした。すると先生が、レトロウィルスかもしれないとおっしゃったので訳が分からなくなっていました。では、ウィルス検査が陰性だったので、口内炎は他に原因があると考えていいんでしょうか?
Posted by まっちゃん | 07:11:58, Jun 25, 2006
ぽぽにゃんさん、こんにちは。
胎盤中の母子感染はほとんどないと考えられています。
(相手は生き物なので、100%と言い切ることはできませんが・・。)
陰転も白血病だけです。

まっちゃんさん、こんにちは。
確かに猫エイズウィルスや猫白血病ウィルス感染猫たちには口内炎が多くなります。
しかし、それ以外にも口内炎はたくさんの原因から起こりえる病気です。

ちょっと忙しく、書き込みが遅れてしまいました。
また、白血病についての更新もできていません。
すいません。
Posted by shu | 12:06:30, Jun 27, 2006
今日、ここ数日様子がおかしかった(餌だけには目がないのに食べない、寝たまま起きない)うちの猫6歳♂を病院に連れて行きました
なんと熱が41度あると言われ、血液検査をした結果、白血病に感染していました・・・
更に悪いことに猫エイズにも同時感染・・・
先生が言うには白血病だけなら何とかなりますが同時にかかると非常に厳しい、
よくて数年、悪くてすぐに死んでしまう可能性があると言われました。。。
今まで体調を崩したことはありましたが、すぐに元気になっていたので心配していませんでしたが、急にわかってものすごいショックです
つらい時も一緒にいてくれた子なので、非常に心配です・・・
やはり同時に感染すると厳しいのでしょうか・・
Posted by nami | 15:40:16, Jul 31, 2007
namiさん、こんにちは、はじめまして。
コメントが遅れましてすいません。
ご心配なお気持ちお察しします。
そちらの先生がおっしゃるとおり、現実的には両方が感染していると予後は悪いことが多いです。

それぞれの病気にいつ感染したのか、普段外に出る子なのか、ワクチンが打ってあるのか、けんかをする子なのか、去勢はしてあるのか、他にも病気があるのか、などなど様々な要因によって違ってくると思いますので、先生とよく相談の上、治療をなさってください。
現在の症状を抑えてもらったり、食べることができないようなら点滴してもらったり、インターフェロンを使ったりなどいろいろな治療が考えられると思います。
でも、それはやはり本人を診てからでないと何とも言えません。
ですが、基本的には上記のような治療をしてストレスを軽減させてあげて発症させないようにしてあげてください。

この冬、肺炎を起こしている上、どちらの検査にも陽性だった猫が来ました。
すでに貧血がかなり進み、食事も取れず、それでも外へ出ようとしていましたが、飼い主さんの必死の看護で現在はほとんど貧血も改善し肺炎も治り、普通どおりの生活をしています。
確かに両方が感染しているとよくないのですが、すべての子がすぐにダメというわけでもありませんので、namiさんの猫ちゃんに必要な治療を受けてくださいね。
よくなるよう祈っています。
Posted by shu | 16:33:21, Aug 01, 2007
shuさんありがとうございます。すぐにでも死んでしまうというわけではないので安心しました。
幸いにも今日は少し元気になっています。できるだけのことはしてやろうと思います。
ありがとうございました。
Posted by nami | 09:45:32, Aug 02, 2007


◇ 返信フォーム


名前 :   情報を保存する
メール : 
URL : 
題名 : 

内容 :