普通の動物病院の診療日記

November, 2010
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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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フィラリア陽性ワンコ

以前に比べるとずっと数が減ったフィラリア陽性ワンコ。

この時期から動物病院では狂犬病予防注射とフィラリア検査のラッシュが始まる。

 

先日、自力で立つことができなくなったワンコが来院した。

12才の雑種ワンコ。

一度もフィラリアの予防をしてもらったことがなく、心臓内にフィラリアの成虫がたくさん寄生しており、また血液中にはミクロフィラリアという子虫がうじゃうじゃいた。

 

心臓も限界に近く、また子虫が体のあちこちの毛細血管に詰まり、すでにフィラリア症として末期的な状態だった。

ICU(酸素濃度を高くして温度や湿度も管理できるケージ)に入院して体力の回復を待つことにしたが、翌日、飼い主さんは「寿命だから」と連れて帰られた。

 

おそらくその日の夜、あるいはもって数日で亡くなるだろう・・。

寿命?

「もしも、もしも、また再び動物を飼うことがあれば、防げる病気は防いであげてください。この子は僕よりもあなた達を信用しているんです。」と、言うのが精一杯だった。

ICUから出されて、退院するワンコは飼い主さんに抱かれてとても嬉しそうだった。

死ぬために帰るのに・・。

 

常々思うけど、どんなに一生懸命手術や治療をして入院させて、夜中も何度も注射したり治療したりしても、すればするほど動物達は僕らを怖がり、僕らよりも飼い主さんを信じている。

僕らが頑張っていることは飼い主さんたちには伝わるが、なかなか動物たちには伝わらない。

あたりまえだけどね。

 

動物を飼うということは、その子たちの命も心も全部受け止めてあげるということ。

動物たちには「死」という概念がなく、「死」に対する恐怖も無いかもしれないけど飼い主さんたちに愛されて愛する心だけは確実に存在する。

助かるかもしれない病院よりも、愛する人たちがいる家庭を望むのだ。

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この記事への返信
こんばんは、家の二匹の犬達も実は昔フィラリアにかかりました、あの時はホント自分を責めてもうダメだ…なんて思いました。
でもまだ初期段階だったので先生には『大変だけど根気強く通えば何とかなりますよ、大変ですけど…』と言われ毎週病院に通い半年後やっと完治して今は必ずフィラリア・狂犬病・ワクチンは必ず受けています。
動物達は自分から病院にも行く事が出来ないし、注射も打てに行けないし本当に後悔する前に必要な予防接種受ける。
飼主としての最低限の役目だと思います、自分もそんな後悔を経験してるので偉い事は言えないんですけどねσ(^_^;)
Posted by しげ | 00:57:53, Apr 18, 2006
しげさん、おはようございます。
そうなんですよね、本当は動物が自分で病院に来てくれるといいのですが・・、何しろ動物に嫌われる仕事なものでして・・(苦笑)。
実は僕の実家の犬もフィラリアで亡くなりました。
ずっと昔の話ですが・・。
フィラリアというものを知らなかったんです。
非常に後悔しました。
ですから僕も偉そうなことは言えないのですがσ(^_^;)
ですが、同じような気持ちを人に味わってもらいたくないとの思いはあります。
Posted by shu | 09:50:37, Apr 18, 2006
はじめまして、最近ぺログーにブログを開設し、先生のブログを発見しました。
とてもためになるお話ばかりで、今後も楽しみにしています。

ところでフィラリアですが、もう20年以上前になりますが、放浪していたワンコを保護したところしました。
涼しい時期のも関わらず、ハアハアしていて、病院に連れて行くと「日射病」との診断。
「??」と思い、別の病院に行ってみました。
かなり重度のフィラリアでした。
治療したのですが、うちの子になってたった1年半で短い生涯を閉じました。もう、肺も半分機能しない状態だったそうです。
その子を通してフィラリアというものがあることを初めて知りました。
今思うと、あの時した治療はミクロフィラリアをなくしただけだったと思います。今ならもう少し長生きさせてあげられたのでしょうか?
Posted by ぽぽにゃん | 11:46:11, Apr 18, 2006
ぽぽにゃんさん、はじめまして。
書き込みありがとうございます。
その放浪ワンコはぽぽにゃんさんに助けられて幸せな余生を送ることができたのでしょうね。
うれしく思います。
現在でも少なくなったとは言え、やはり田舎では見かける病気です。
そのときの状態や病態によりますので一概には言えませんが、20年前と今では獣医学も獣医療も格段に進歩しています。
薬ひとつとっても、毎年どんどん新しいものが開発されています。
ですが、やはりフィラリアは予防が一番大切ですよね。
Posted by shu | 19:13:53, Apr 18, 2006
ふぇ〜ん。。。悲しいです。きっとこの飼い主さんもずっと愛情をもって、育てて来られたのだとは思います。
でも・・・飼い主の無知やエゴで、動物たちを早く死に追いやってしまうこともあるのでしょうね。
私も身にしみて感じました。
今、うちのお気楽猫たちを抱きしめて、このページを読んでいます。(T_T)
Posted by みえこ | 22:23:43, Apr 18, 2006
みえこさん、こんばんは。
この飼い主さんたちは一晩入院させて、その夜はお子さんたちも含めての家族会議をし、その上での決定が退院でした。
お迎えにこられた時は子供さんもご一緒でした。
すごく嫌な感じの方だったりすると、僕もちょっときつい言葉が出たりすることもあるのですが、少なくともそんな人たちではありませんでした。
何年も一緒にいることで愛情はたくさん持っておられたと思います。
Posted by shu | 23:15:12, Apr 18, 2006
こんばんは、はじめまして。
ずっとこっそりロムしてましたが、はじめてカキコします。
私も子供のころ飼っていたわんこがフィラリアで死んで初めてその存在を知りました。
その後実家で飼ったわんこはフィラリアの予防は欠かさずしていました。
ですけどフィラリアの薬って無駄に高いと思うんです。
あまりにも獣医さんによっても値段の差がありすぎますし
価格の設定が不明瞭です。
こう言うのも、予防を進んでしない飼い主さんが出てくる理由のひとつだと思うんです。
Posted by じゃすみん | 21:37:01, Apr 19, 2006
じゃすみんさん、はじめまして。

すごくいい意見だと思います。
ありがとうございます。

ワクチンにしろ、フィラリアにしろおっしゃるとおり価格設定は動物病院の自由設定だし、アメリカやオーストラリアなどの外国に比べて確かに高いと思います。

人間のような健康保険制度がないため、治療費も高いと思われるかもしれません。

しかし、最近は動物たちを我が子同様に育てられる飼い主さんたちが増えてきて、抗がん剤療法、放射線療法も当たり前のようになり、大きな病院だとCTやMRIをおかなければならなくなっています。
僕のような小さな病院ですら内視鏡、超音波、レントゲン透視装置、ICU、などなど、飼い主さんたちのご希望にお答えするためには設備投資にものすごいお金がかかってしまっています。
勉強する獣医師は1冊10万円もするような専門書を何冊も買いますし、東京や大阪のセミナーにも年に何回も参加します。
勉強すること自体にも大金をかけています。

しかし、例えば帝王切開で親子犬たちを助けても、僕ら一般の動物病院では人間の病院のように数十万円を請求できないのも事実です(請求している動物病院も存在しますが)。
人間並みの治療費を請求できないのに、人間並みの検査や治療が必要になりつつあるのが現状です。
そのため、どうしてもフィラリアやワクチンが高くなってしまうのかもしれません。
僕も予防はなるべく安くしようと努力してはいるのですが、あるところで限界はきてしまいます。

以前、ワクチンのことも書きましたが、ワクチンの料金にはそういうワクチンについての説明料・知識料なども含まれていると思っています。
だからこそ、獣医師は飼い主さんたちに対して、いただく料金の分はしっかりと説明する義務があると思います。
すべての獣医師がそうでない、という意見もいただきましたが、それは残念なことだと思います。

しかし、動物を飼うのに予防は必要です。
動物を買って(飼って)から、予防にお金がかかるのを知って驚いて、それで予防をしない、というのは間違っていると思います。
動物を飼うからには責任を持って飼って欲しいと思うので、まず、どんな予防が必要なのか、いくらくらいかかるのか、それらを調べた上で、飼えるならば飼って欲しいと思います。

そして動物病院側にも努力が必要なのも事実だと思います。

じゃすみんさんの率直なご意見はとてもうれしく思います。
勇気のいる書き込みだったと思いますが、感謝しています。
Posted by shu | 09:31:08, Apr 20, 2006
早速のレスありがとうございます。
私は実家で父がオーナーで何度か犬を飼っていましたが、今飼っているわんこは始めて自分がオーナーになったわんこです。
飼う前に1年かけて下調べし、さらに半年かけてブリーダーさんを選んで我が家にやってきました。
わが子同様かわいくて仕方ありませんので、もちろんいろんな病気の予防の必要性もわかっておりますし、今までからもしてきました。
私の基本的な考えは、飼う人間はいろんな下調べをして最後まで責任をもって飼うということです。
ペットショップで安易に衝動買いをするなんていうのはもってのほかだと思いますし、病気の予防などもちゃんとする意思がなくては飼ってはいけないと思います。
そのためにも、いろんな面で動物病院さんのほうも予防やお薬代などの価格なども明確にして、きちんと説明していただきたいと思うのです。
長くなりまして申し訳ありませんでした。
Posted by じゃすみん | 11:49:31, Apr 20, 2006
じゃすみんさんのところ読ませていただくと、とても大切にされていることがよくわかります。
行かれた病院の薬代に大きな価格差があれば、当然価格についてもおかしいと思われることももっともだと思います。
僕がここで開業した時は、料金の明細書すら出す動物病院がなかったんです。
不透明はいけませんよね。
僕ももっと努力しなければ!
Posted by shu | 19:36:12, Apr 20, 2006
はじめまして。
フィラリア陽性ワンコのことで、ご相談させていただきたくメール差し上げます。
里親を考えていたMダックス(3〜5歳くらいに見えます♂)がフィラリア陽性ワンコと診断(フィラリアの親虫は肺動脈からもっと奥の心臓の中まで達している)され、緊急で成虫5匹をつりだし手術しました。術後は元気そうなのですが、ミクロフィラリアを退治して健康なワンコに戻れるものでしょうか。
また、家には先住犬がいますので、同じ家で2匹を飼い蚊に刺された場合、先住犬の陰性の犬が毎月陽性になり(フィラリアがうつり)薬で毎回退治するということを繰り返すようになるのでしょうか。
それが、とっても心配なのです。
また、そのコを受け入れた場合、どのような治療と、どのくらいの費用(病院によって違うと思いますが)が掛かるものか教えていただきたいのです。
責任もって飼いきれるのか判断したいと思います。
保護されたワンコのことはブログからの情報で、保護団体との連絡もネット上で取り合っている状態なのですが、宜しかったらアドバイスいただけないでしょうか。
また、我が家には毎日、娘のところのチワワ(4歳)が2匹来ますので、小さい犬はより影響がでるのでしょうか。
アドバイスのご連絡をいただけると幸いです。
Posted by 片桐慶子 | 00:47:09, Jul 26, 2011


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