ワクチンの話としては最後になりますが、副反応(副作用)のお話です。
これも詳細を書くと難しい話になりますし、ネットで検索するとあちらこちらに情報が出ていますので、簡単に書きたいと思います。
まず、どこのメーカーのワクチンが一番安全かどうかは正直なところ不明です。
ですが、コアワクチン以外のレプトスピラワクチン、猫白血病ワクチンにおいての副反応が多いという見解は多いようです。
要するに、コアワクチンは比較的副反応が少ないと言えるとのことです。
「まったく副反応はない。」ではありませんので、注意してください。
http://www.nval.go.jp/fuku2/hukusayo.htm
上記のURLは農林水産省の動物用医薬品副作用情報のデータベースにリンクしているページです。
中ほどにある「副作用情報データベース」をクリックすると、検索ページが出てきますので、その中の「生物学的製剤名」の空欄に「ワクチン」と書いて検索をしてみてください。
詳細をクリックすると、いろいろな種類のワクチンと副反応の状況や内容、そして転帰(回復したとか亡くなったとか)が記されています。
僕ら獣医師は、医薬品で何か副作用・副反応が起こった場合、農林水産省へ報告することが平成15年から義務付けられました。
それ以前は義務ではなかったということになります(怖)。
さて、一般的なワクチンの副反応の話です。
まず、犬でも猫でも接種後もっとも短時間に起こり、もっとも恐ろしいと言えるのがアナフィラキシーショックと言われるものです。
ワクチンによってショックを起こし、虚脱や低血圧などが起こり、最悪の場合死亡します。
接種後10分から30分くらいの間に起こることが多いため、接種してすぐに病院から帰らないようにしてください。
少なくとも10分や20分は病院内や駐車場、車の中で様子を見ていてください。
動物がぐったりしてきたり、口の中や舌が真っ白になったり、逆に紫になったり、また大きく口をあけて苦しそうな呼吸になったらすぐにスタッフに知らせるようにしてください。
ワクチンの種類やメーカーによって発生率の報告は違いますが、10万分の1とか30万分の1という報告があります。
初回よりも2回目の方が発生率が高いと言われています。
次に、顔が腫れる(ムーンフェイス)や蕁麻疹などのアレルギー症状が出ることもあります。
これはほとんどの場合、命にかかわるものではありませんが、顔を掻いて眼を傷つけることなどもありますから、病院に連れて行って治療をしてもらってください。
これらは接種後、1、2時間後で起こることが多いですが、6時間後でも起こることもありますし、翌日に起こったという報告もあります。
そして、発熱があります。
ワクチン接種によって、体はワクチンに反応して抗体を産生しようとしますから、体内において一種の動物対ワクチンウィルスとの戦いが起こります。
その過程で発熱が起こることがわかっています。
ですから発熱に関してはワクチンの副反応と言えないかもしれません。
これは通常安静にしていれば自然に治まりますので、治療の対象とならないことが多いです。
また、ワクチンは動物の免疫系に作用するものであるため、まれにですが、免疫介在性溶血性貧血や同血小板減少症などの免疫性疾患を起こすことも知られています。
場合によっては一生涯に渡って、免疫抑制剤を飲み続けなければならないことになるかもしれません。
そして猫の場合は、注射部位肉腫という悪性腫瘍が起こることも知られていますが、以前はワクチン接種部位肉腫と呼ばれていたものが、ワクチン以外の注射でも起こると言う報告があるため、現在では注射部位肉腫と呼ばれるようになっているようです。
1万匹に1匹の割合で起こるという報告があります。
3種よりも白血病のワクチンで多いとされています。
ちょっとここでいったんアップしておきます。
あと1回で終わりにします。