普通の動物病院の診療日記

November, 2010
-
01
02
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
-
-
-
-
PROFILE
shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

MYALBUM
CATEGORY
RECENT
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
ARCHIVES
LINK
SEARCH
PR




ワクチンのお話 5

1141459187571204.jpg今日は犬のワクチンです。

 

まず、日本で、ワクチンで予防できる病気の種類ですが、

狂犬病はとりあえず別格として、

1.犬ジステンパー

2.犬パルボ

3.犬伝染性肝炎(アデノ1型)

4.犬アデノ2型

5.犬パラインフルエンザ

6.犬コロナ

7.犬レプトスピラ(数種類ある)

以上、7種類です。

1,2,3番までを予防するワクチンがコアワクチンで、4〜7番がノンコアワクチンとなります。

実際には、コアワクチンとしてよくネットや本にジステンパー、パルボ、アデノ2型と書いてありますが、アデノ2型ワクチンで1型の伝染性肝炎も予防できるからです。

日本にはアデノ1型ウィルスで作ったワクチンはありません(たぶん・・・)。

 

そこで、コアワクチンを中心にして接種すればよいわけですが、犬のワクチンは猫の場合と違って1種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種と、たくさん種類あります。

ブリーダーさんやペットショップさんは一般の飼い主さんとはちょっと事情が違うため、きちんと予防される方は早めにジステンパーなどより危険なものを打たれることがあります。

 

一般の飼い主さんは、通常、動物病院では

5種(コアワクチンにパラインフルエンザ)

7種(5種にレプトスピラ2種)

8種(5種にレプトスピラ2種とコロナ)

などを薦められることが多いと思います。

それ以外にレプトスピラを3種類加えた9種や5種にコロナを加えた6種などもあります。

 

僕は基本的には5種を薦めますが、やはり、飼い主さんがよりたくさんの病気の予防をしたいと望まれるなら7種、8種も多く接種しています。

僕は以前はやはりたくさん予防できたほうがよいと考えており、7種、8種をメインにしていました。

実際、うちで一番出ているワクチンは8種です。

しかし、副作用のことなどを考えるうちに、どなたにも同じものを薦めるのではなく、生活環境にあったワクチンを薦めるようになりました。

 

例えば、レプトスピラは人畜共通の届出伝染病です。

ネズミなどの尿から排泄され、水たまりなど水の多いところで感染しやすくなります。

ですから、お散歩コースを聞いてみて、河川敷など水やネズミが多いところに行くワンちゃんとか、レトリバーのように水遊びが好きでときどき川に泳ぎに行くようなワンちゃんたちには7種や8種などレプトスピラの入っているものを薦めます。

もちろん、副作用の発現率は高くなることも説明します。

レプトスピラは発生があれば飼い主さんにもうつる可能性があるので、もちろんワクチンを薦めますが、レプトスピラであるという診断をすることがとても難しい病気です。

ですから、実際に発生があっても確定診断が取れずに報告されていないケースも多いかと思います。

 

http://ss.niah.affrc.go.jp/disease/fact/reputo.html

 

上記のURLは農水省の動物衛生研究所のレプトスピラ発生報告が書いてあるページです。

参考にしてみてください。

ただし、くどいようですが診断が難しいのである地域で発生が0件であっても、どれだけ信憑性があるかどうかはわかりません。

 

また、ショーに出したい人・行きたい人、ドッグランやホテル、トリミングなどに行かれる人などもその地域で流行っている病気があったら動物病院で相談して種類を考えられれば良いと思います。

 

あくまで基本はコアワクチン主体で、飼育方法、飼育環境などを加えて考えてください。

そしてやはり猫たちと同様、飼い主さんもある程度の知識を持たれた上で、地元の獣医さんに相談されるのが一番だと思います。

 

絶対に外に出ないワンちゃんたち(現実的には非常に少ないですが)についても猫で書いた理由で最小限のものは薦めています。

 

次回は接種時期についてかな。

スポンサード リンク


この記事への返信
↓のコメント拝見してビックリしました。
ちゃんとした薬剤の資格などいるんですね。
私の知り合いは、トリマーさんなんですが接種させられていたそうです(ーー;)
無責任に経営者ですよね!!(悲・怒)

我が家では以前の病院でアプリ(ダックス)だけが5種を進められ(説明もしてもらいました。)そうしていたのですが・・・。
今の病院では、「少しですが奈良でも検出されてるので、ランなど地方の方の出入りのある所に行く場合は7か8種を進めます」と言われたのでそうしています。
いっぱい遊ばせてあげたい分、やはりワクチンでの心配もあります。。。危険を避けてあげるのか。楽しさを与えてあげるのか難しいですね・・・。
飼い主としては複雑な気持ちです・・・。
接種時期などもあるんですね。こちらも勉強させて頂かなくてわ!!
Posted by ちぇりママ | 21:10:35, Mar 04, 2006
うちの場合は、昔はアジリティ、シープドッグなどの競技に出ていたので、できるだけ多くの種類の病気の対策ということで毎年違う会社のたくさん入ってるのをしていましたが、競技を引退し、お出かけの回数も減った今は、最低限のだけにしています。年をとった分(犬4頭が全部9歳以上です)、副作用の方が心配になっていますので。

狂犬病のワクチンは「しなければいけない」ものですが、犬の状態によって保留にできるんですよね。(管轄の自治体によって違いはあるでしょうが、病気の犬の接種免除は何らかの形であると思います)
肝繊維化症だったニコラも、発症してから毎年かかりつけの先生に免除の証明書を書いてもらって提出していました。
でも、20年ほど前に亡くした柴犬は、フィラリアで体調が悪く病院通いをしていて、ワクチンの時期になったとき一旦は「やらなくていいよ」と当時お世話になってた先生に言われてたのですが、市から接種漏れの警告通知が来たことを話したとたん「うるさいからやっておこう」
…ワクチンのせいだけではないかもしれませんが、愛犬はその後まもなく死亡。体調によって、安全とされているものでも重い副作用がでるのだと思い知らされました。
あの時、世間話のつもりで「催促状なんか来るんですねー」と話してしまったことを、今も悔やんでいます。
Posted by TYCHO | 00:27:56, Mar 05, 2006
ちぇりママさん、おはようございます。
トリマーさんが接種させられていたんですか・・・。
獣医師はいないショップだったのかなあ・・。
確かに時々そういうお話を聞くことがあります。
そういうショップにワクチンを流す獣医師も悪いのですが。
7種や8種のワクチンが決して悪いわけではありません。
そちらの先生のおっしゃるように、他のワンちゃんとの接触があったりして感染のリスクがある場合はやはり7,8種の方が安心だと思いますよ。
副作用を恐れすぎて本当に病気に罹ってしまうのも困りますからね。

TYCHOさん、おはようございます。
確かにアジリティなどへご参加されて、多くの犬との接触の機会がある場合は多種のワクチン、そして、その機会が減ってきてから種類の少ないワクチン、正解だと思います。
一生、同じものをただなんとなく続けるのではなく、その時その時の状況に合わせることが大切ですよね。
また、狂犬病についてもおっしゃる通りで、すべてのワクチンは動物たちの体調の良い時に打つべきものです。
うちでも重度の心臓疾患を持つ犬とか、てんかんの犬など病気の重たい犬には接種しません。
そのような場合、動物病院で「狂犬病予防接種猶予証明書」というものを書いてもらえますので、それをお役所に提出すればよいことになっています。
Posted by shu | 10:36:35, Mar 05, 2006
う〜む、勉強になりますね〜。
飼育環境に合わせて、と言うのは、大切な事だと思います。
周りに野良猫ちゃんがたくさんいる環境の我が家では(ウチの倉庫の下で出産してしまったり・・・)ちゃんと獣医さんと相談して、ワクチンの種類を決めていかなくては。。。

ワンちゃんお迎えの準備は着々と進んでいますが(今日は車を買い換えました・・・オオゴトです・笑)人間の知識の方をもっともっと充実させなければ。
と思います。
Posted by こゆ。 | 21:06:46, Mar 05, 2006
今回も大変勉強になります。
我が家はショードッグや犬イベントに頻繁に行く犬達は八種ですね。その他は五種です。
住んでいるのは秋田県ですが、たまに遠征もあるのでやはり心配ですよね。特にショー会場は色んな犬が来ますので、ウツされる可能性も高いです。
インドアのショーは私が所属する団体ではやっていませんが、空気悪いし帰宅してケンネルコフかかった話も珍しくないですね。

我が家で生まれた子犬、オーナーさんが決まって無い二頭は今週に第一回目の混合ワクチン接種です。
Posted by HERO | 18:42:21, Mar 07, 2006
shuさん
つつじとマリーの白血病が治りました!
本当にうれしいです!
Posted by まきっころ | 14:44:04, Mar 08, 2006
こゆ。さん、こんにちは。
ワンちゃんのお迎え、楽しみですね〜!
しかも車までお迎えでしたか(笑)。

HEROさん、こんにちは。
そうですね、ショーでの感染はよくある話ですから、注意が必要ですね。
HEROさんはきちんと知識を持ってやっておられるようで気持ちがいいです。
Posted by shu | 15:42:24, Mar 08, 2006
まきっころさん!
すごい、すごい!
本当によかったですね!
本当におめでとうございました!!
うれしいです。
Posted by shu | 15:43:24, Mar 08, 2006


◇ 返信フォーム


名前 :   情報を保存する
メール : 
URL : 
題名 : 

内容 :