ちょうど腎不全の話題が出ていたから、今日の日記にします。
12才くらいのワンコがいます。
慢性腎不全になり、現在、家で飼い主さんに皮下補液してもらっています。
皮下に点滴してもらうことで、血液の循環量を増加させ、血液中に溜まっている悪い物質を少しでも体外に排泄させるための治療です。
病院でもできますが、家庭でもなんとかやってもらえます。
すでに数ヶ月が経過しました。
あまり一般の人には知られていませんが、慢性腎不全が進行すると貧血が起こります。
血液を造るのは骨髄ですが、骨髄に血液を作るようにある物質を出すのが腎臓なのです。
したがって、腎不全が進むとその物質(エリスロポイエチン)が産生されなくなり、骨髄が血液を作らなくなり、貧血が進んでしまいます。
貧血が進むと当然元気もなくなり、ふらふらするでしょう。
そのワンコも貧血がどんどん進んだため、エリスロポイエチンの注射を始めました。
幸い、よく効いてくれ、血液がどんどん増えました。
それに伴って元気も出てきて、飼い主さんも喜んでおられました。
ただし、いつかはこの薬に対して抗体ができるかもしれず、長期間は使うことができないかもしれません。
腎不全の末期には痙攣発作も起こってくることがあります。
このワンコにも痙攣発作が始まりました。
今、飼い主さんは痙攣を抑える薬も併用しながら、ほとんど夜も眠らずにその子の看病にあたっておられます。
座薬を使ったり、飲み薬を飲ませたり。
毎日のように来院されますが、僕にできることはすでにあまりありません。
せめて、飼い主さんの話を聞いてあげて、励ましてあげて、ご自分も休むように、体を壊さないように言ってあげることくらいです。
「だけど、子供と同じなんです。」と、毎日泣かれます。
おそらく最期も近いです。
だけど、そうやって一生懸命看病してもらい、少なくとも数ヶ月は寿命が延びました。
やっぱ、幸せでしょう。
そこまで看てもらえる動物たちはすでに家族ですからね。
おっと、これは決して暗い話しではありませんよー。
とっても頑張っておられる飼い主さんとワンコの話しです。
応援しましょう。