普通の動物病院の診療日記

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shu

小さな町の動物病院の獣医師です。

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塩分

つい最近まで、僕は「人間の食べ物には塩分がたくさん含まれているから与えてはだめですよ〜。」と言っていた。

 

しかし、最近大手の処方食フードメーカーのお話を聞いたところ、「健康なワンコやニャンコなら塩分はいくら与えても大丈夫ですよ。」と、ご意見が変わっていた。

僕らの世界は日進月歩、年々新しい情報が次々と出てくる。

去年まで「だめ」と言っていたはずのことが、今年は「オッケー」とかわるのである。

 

最近、動物たちに市販のペットフードに頼らないで手作りのフードを与えている飼い主さんも増えてきている。

ネットでも、また、本でも手作りフードに関する情報が増えてきた。

 

大切なことは「手作りフード」=「残飯」ではない、ということ。

愛情を持って手作りしてあげるフードに勝るものはないと思う。

ただし、それには飼い主さんたちの勉強も不可欠である。

 

そもそも野生の動物は獲物を倒して食すとき、わざわざ塩や醤油をかけたりしないわけである。

獲物の血液中、組織中に含まれる塩分だけで十分健康を維持できるわけである。

だからこそ、塩分を加える必要はない、心臓に悪い、腎臓に悪いと僕らは言ってきたのであった。

 

フードメーカーの研究により、健康な動物では余剰な塩分を排泄できる能力を持っていることがわかったため、「塩分を与えても大丈夫。」という結果になったという。

 

ワンコやニャンコが「おいしい」と感じるのは「塩分」・「脂肪」・「蛋白質」なのである。

苦味や旨み、辛味をおいしいとは感じないらしい。

 

だから塩分を加えることで動物たちはよりおいしいと感じることができるのである。

それは事実だと思う。

 

ただ、一つ問題がある。

塩分を取っていいのは、「健康な動物」なら・・・、で、ある。

 

もしも将来、腎不全や心不全に陥ったとき、先のフードメーカーも「塩分はだめです。」と言っている。

病気になるまでの間、塩分をたっぷりもらっておいしい食餌をしていた動物が、病気になったからといって塩分抜きの「まずい処方食」や「物足りない手作りフード」にもどれるのであろうか・・・?

 

今でも死因の上位を占める慢性腎不全や、心不全、こういう病気には過剰な塩分を与えてはならない。

 

うーん、今を喜んで生きるか、それとも病気になったときのことまで考えて警戒しながら生きるかってことだ。

決めるのは動物ではなく、飼い主さんなのである。

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この記事への返信
コレは、人間にも言えることですね。
赤ちゃんの離乳食を作る時、味付けは殆どしません。
それが、乳児になり、幼児になり、お菓子を食べ、沢山の“おいしい”に
まみれて育ってしまうと、早いうちから生活習慣病にまっしぐら。

素材の味って、おいしいんですけどね。

でも、動物も健康なら塩分を与えても大丈夫なのですね。
また、塩分を、「おいしい」と感じるんですね。。。。知りませんでした。
そういえば確かに、ハムスターがやたらと食べるエサがあるので、試しに
食べてみたら、うっすら甘かったです。(笑)
Posted by こゆ。 | 22:38:39, Aug 24, 2005
健康子には、塩分を与えてもいいんですねぇ。私も知りませんでした。
研究で色々と変わってくるもんなんですねぇ。
でも、shuさんのおっしゃるように・・・
病気になった時が心配。。人間は自分の体の事を考える能力はありますが・・。
ワンコはただマズイ・・。という事しかないですよね。
以前、実家に行くと私の母がジャーキーを買ってくれていました。
ペット用=あげてもいい。という知識のままで・・・。
塩分が多いので良くないらしいよ!と言ったら・・
「生きてる中で美味しいという楽しみは無いの?人間の方が体に悪いの食べてるよ。
でも、食べすぎに注意して食べるでしょ〜。それも楽しみなんでしょ?
量を考えてあげて、たまの楽しみがあってもいいのちゃう?
食べたらあかん物を作って売ってるの?(ー"ー ) ウ〜ン...分からん」
と、言われた時に・・。それも考え方の1つなのかな〜??と思ってしまいました。
でも母は、ジャーキーでは無く。ささみを買いに行きボイルしてあげてました(笑)




Posted by ちぇりママ | 03:21:57, Aug 25, 2005
こゆ。さん、おはようございます。
そうなんです、健康なら塩分を与えても大丈夫ではありますが、塩分を与えましょう、ではないのです。
人間と同様、動物にも生活習慣病に近いものはあると思われますので、やはり十分な注意が必要だと思います。

ちぇりママさん、おはようございます。
僕もやはり病気になったときが心配です。
いろいろなケースで飼い主さんに病気を告げるとき「私があんなものばかり食べさせなければよかったのに、ごめんね○○ちゃん。」と嘆かれる方がたくさんおられます。
もちろん食べ物だけが原因でないにしろ、いくらかの責任を感じられる方がおられ、動物をかわいがっていればいるほどその気持ちが強くなるみたいです。

ここを知っておられる人間のお医者様(循環器専門)からメールをいただきました。
「ほんとに大丈夫なの?」って。
人間でも人種によって食塩に対して感受性に違いがあるけれど、日本では保存食としてお漬物をたくさん食べる地方で冷蔵庫の普及によってお漬物の量が減ったところ、脳卒中の発生が減ったという報告があるそうです。
そして世界高血圧学会ではやはり減塩を基礎においているそうです。

フードメーカーの説明によると、ワンコやニャンコは白人に近いそうです。
われわれ黄色人種や黒人は食塩が不得意だそうですが、白人は食塩に強いそうです。
(おおまかに白人、黄色人種、黒人とくくって書きましたが、もっと細かく調べられているかもしれません、人間のことは僕にはわかりません)

ただ、ワンコやニャンコと一言で言ってもいろいろな種があるわけですから、すべてのワンコ、ニャンコが大丈夫かどうか、疑問が残りますね。

僕個人の気持ちとしてはやはり与えないで済むものはわざわざ与えないほうがいいような気がします。
Posted by shu | 08:46:17, Aug 25, 2005
これからは、塩味のきいたキャットフードなども発売されてくるんでしょうかね。


でも、今までダメといわれていたものが急にOKとなっても、すぐに与えるのは正直怖い感じがします。
Posted by まきっころ | 15:20:52, Aug 25, 2005
まきっころさん、こんにちは。
「塩分たっぷり美味しいフード!」なんていうのはさすがに出ないとは思いますが・・・(笑)。
塩分に限らず(薬でも)、しばらく様子を見たいと思ってしまいます。
Posted by Shu | 12:26:05, Aug 26, 2005
すみません・・・先生が締めてあるのに、書き込んでしまって・・・

我が家は、昨年の12月から手作り食に変えました。
手作りと言っても、主に鶏の胸肉、ささみを中心に、レバー、砂肝、ハツなどを生であげています。それに加えて、ブロッコリーやキャベツ、ニンジンボイルなども混ぜています。週に一度は、お魚の日(加熱)、また生卵(黄身だけ)やお豆腐なども食べさせています。あと、炊きたてご飯に少しだけ、植物性バターを入れて混ぜてあげることもあります。
お肉に関しては、初めはボイルしていましたが、やはり自然に近い形の方が、よく食べてくれるようです。また、初めは、フードプロセッサーで細かくしていましたが、少し食感が残る方が好みのようです。猫によって違うとは思いますが。。。。
あと、先生がおっしゃるように、ごくわずかですが、お醤油や味噌を混ぜた方が断然食いつきがいいですね。
ただ、やはり、「健康な猫」と言うのに限られてくるのではと、ココを読んで感じました。
我が家の2にゃんは、もう9才と10才なので、また少しずつ食生活も考えてやらなくちゃいけないのだと思っています。
よく、「7才からの○○カン」とか市販されていますが、どこがどのように違うのかもよく私にはわかりません。
手作りだから、いいのか悪いのかよくわからないのですが、とにかく缶詰のペットフードの原料の実態を私なりに、少し勉強したのですが、怖くてもうあげられないのです。

長々すみません。
Posted by みえこ | 20:34:00, Aug 29, 2005
みえこさん、こんにちは。
返事が遅くなってごめんなさい。

すごくしっかりした手作り食をあげておられるみたいですね。
幸せな2にゃんですね。
僕は手作り食がいいとは思いながら、忙しいのを言い訳にうちのニャンコには市販のフードを与えています(汗)。

9才、10才というとやはり高齢になりますから、フードには気を遣われるかもしれませんね。
特に、猫くんたちは高齢での腎臓疾患が多く見られます。
嘔吐や食欲不振で病院に行かれ、血液検査で腎臓の数値(BUNやCreなど)に明らかな異常が見られた時は、すでに腎臓の7割くらいがだめになっていることが多いです。

血液検査で腎臓の明らかな異常が見られる前に、水をたくさん飲む、薄いおしっこをたくさんする、といったような症状を出しているかもしれません。
血液検査は病院でしかできませんが、一般の生活から異常を見つけてあげることも飼い主さんならではのお仕事だと思っています。

市販のフードの中にも、高価であったり、なかなか手に入りにくかったりするけれど、原材料のはっきりしているものや、保存料や着色料などを添加していない安心なフードもあるようですね。
Posted by shu | 19:43:03, Aug 30, 2005


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