絶海の孤島がまさに安住の地だった、レイサンクイナ。

外敵の存在がないがために飛ぶことをやめてしまったクイナという鳥に

とって、人間とともに到来した動物たちは脅威の存在になったようである。

飛ぶことをやめることでエネルギーを温存する暮らしぶりを選ぶと

いうのは、ある意味で正しくもあったが、環境の変化にはもろい面を

みせてしまった。

すでに絶滅が報告されているこのレイサンクイナも、人間とともに

訪れたネズミによって絶滅された種類といわれている。

日本の固有種であるヤンバルクイナ。彼らに同じ道を歩ませては

ならない。

ハワイ諸島のなかでも西の洋上にある絶海の小島、レイサン島。

近づきがたい、険しい小島として知られている島だ。

レイサンクイナという鳥は、そんな孤島にだけ生息していた。

していたというのは、今日彼らの姿を目にすることはないからである。

つまりは絶滅してしまった鳥類のひとつなのである。

ツルの仲間の中でももっとも繁栄しているといわれるクイナの
仲間は、極地地方を除いた世界に分布していて、実にその種類数は130種以上を数えるといわれる。
沖縄に分布し、今日その事故のことがしばしば話題になる
ヤンバルクイナもそうしたクイナのひとつ。
現生の鳥には、ダチョウやペンギンといった飛べない鳥は存在
しているが、その中ではクイナの仲間は飛べなくなった種類が
もっとも多いといわれている。
このレイサンクイナをはじめ近年絶滅した種を含めると、その数は30種に達するという。そしてこれら飛べなくなったクイナに
関しては、島で暮らすようになった種類に限定されるらしい。
当然彼らの仲間の多くは、飛ぶ種類でもあるのだ。

飛べないクイナ類は、2000〜3000年の間に変化したと考えられている。そして共通する点は、いずれも警戒心が強く、飛べない
ために速く走ることができる点だ。
しかし今日彼らは、その生存が脅かされている種類の筆頭にも挙げられている。人間の影響により、多くの種が絶滅してしまい、残存する種に関しても、その個体数は確実に脅かされる存在に
なっているようである。

彼らが飛ばなくなった経緯は次のように考えられている。
飛ばないクイナも多くのクイナ類同様、もともとは飛ぶ能力を
備えていた。
それが彼らを襲うような動物がいないような島に住み着くようになり、長い年月を経た末、飛ぶこと自体があまり意味のないものになっていった。
外敵がいない安全な環境に暮らし、飛ぶことをやめる（羽ばたくことをやめる）ことで、エネルギーを温存する術を身につける
方向に進化していったのである。

それゆえに、ちょっとした環境の変化には、もろい面をみせた。絶滅へのプロセスはというと、やはり人間の存在があった。
人間とともにもちこまれた動物により、影響を受けたようで
ある。無防備な飛べない鳥たしにとって、船に乗って上陸した
ネズミやネコたちの存在は脅威だった。
実際このレイサンヒメクイナの絶滅は、戦争の際に島に渡った
船から侵入した、ネズミの存在によってだという。
1981年に新種として記載された、
日本の固有種であるヤンバルクイナ。彼らに同じ道を歩ませてはならないと思います。