ヨチヨチとした足取りがなんとも可愛らしいオカヤドカリ。
日本でも沖縄や小笠原の島々を中心に生息している、ヤドカリの
仲間である。
本来海中で暮らしていたヤドカリだが、彼らは陸上への進出を果たした仲間たちだ。
もともと水中にすんでいたものが、いつしか陸上に進出して暮らすようになったケース少なくない。
大きな視野でみれば、水中で誕生した生命がやがては陸上へと進出し適応していったという進化の過程をみても、これはしかるべき流れなのかもしれない。
一般に、大多数のヤドカリの仲間は海の中で暮らしている。
この時期は海辺へと出かけることも多いと思うが、磯と呼ばれる場所でみられるヤドカリがホンヤドカリやイソヨコバサミなどである。カニのように逃げ足も速くないし、何より貝殻に入っているので簡単に捕まえられる。
オカヤドカリももちろんこの仲間だ。日本では6種類が知られているが、いずれも南西諸島や小笠原諸島といった暖かいところを
中心に暮らしている。
現地では普通に見ることができ、海岸近くの林の中などが、
彼らの格好の住処だ。
本来水中に暮らし、エラ呼吸によって酸素を取り入れている彼らが、なぜ陸上で暮らせるのか?
それは彼らが背負っている貝殻に鍵があるようだ。
重力に支配される陸上では、その重さもひとしおのように思える貝殻だが、この貝殻の中に水を蓄えておくことで、呼吸をする
ことが可能なのである。
もちろん身を守るためにもこの宿は役立っている。
外敵に襲われた際には体を引っ込め、貝の口はヤドカリの鋏で
堅くふたをされる。
これでは襲い掛かることもできない。
陸に進出したヤドカリは、かくのごとく貝を有効に使っているのである。
ペットショップでも販売されていることがあるオカヤドカリだが、実は天然記念物でもある。
そのため、捕獲を認められているのは一部の業者のみで、我々が沖縄などで捕まえ、
飼育した場合は違法になってしまいます。