熱帯魚の王様という代名詞をもつディスカス。
アマゾン川原産の熱帯魚であり、現地からワイルドと呼ばれる個体が
輸入されているほか、欧米やアジア諸地域で繁殖されており、改良品種も次々と作出されている観賞魚である。
ディスカスはいわゆるシクリッドと呼ばれる熱帯魚のグループの中のひとつであり、円盤状の優雅な姿と、体表から分泌するミルクで稚魚を育てるという
奇習で知られる魚だ。
この魚に学名がついたのは、1840年のこと。世界的な魚類学者ヨハン・ヤコブ・ヘッケル博士が、ネグロ川で採取した魚を分類したものがそれである。
博士は、この平たくて丸い魚にディスク(円盤)と名づけた。
学名は、Symphysodondiscus(シムフィソドンディスクス)。
これが現在、ヘッケルブルー・ディスカスと呼ばれる魚である。
それから60年ほども経った1903年にペルグランという人により、テフェ湖でグリーン・ディスカスが発見された。
さらに1960年にはアクセルロッド博士によってブラウン・ディスカスが、同年、ハラルドシュルツ氏によりブルー・ディスカスが発見されたのである。
そしてこの魚には、1981年にもまた新発見があった。
アクセルロッド博士によりアバカキシス川からヘッケルブルーの亜種として、学名Symphysodondiscuswillischwartzi(シムフィソドンディスクスウィリーシュワルツィ)が新たに記載されたのである。日本のアクアリウムシーンにそのディスカスが登場したのは、1960年代になってからのことだ。
一方でこの魚では、品種の改良が盛んである。原種のディスカスでは黄褐色の地色にブルーのストライプや赤いスポットが入る
魚であるが、特徴的な良魚を繰り返し交配して、魅力的な魚へと仕上げていったのである。
当初その改良の中心はヨーロッパやアメリカなどだった。
特にドイツでは精力的にそうした作業が続けられ、ブリリアントターコイズ、コバルトブルーターコイズと呼ばれる全身が青く輝く魚が作出され、愛好家の間で人気を博した。そしてそうした青系の魚ではさらなる改良が施され、全身隙間なく輝くようなブルーに染まった魚が登場した。
ブルーダイヤモンド、インペリアルブルーなどとよばれる品種である。これはディスカスのもつ魅力的な青を追及した結果であり、そうした改良のひとつの終着点とも思えるでき事だった。
そしてディスカスの改良はこれで落ち着くのかと思いきや、
そうではなかったようです。体の赤い斑点に注目した改良、
あるいは突然変異から固定したディスカスのさらなる改良と
いったように、ブリーダーそして愛好家の夢はさらなる広がりをみせているのである。
今日そうしたディスカス改良のメッカは、東南アジアになっています。
人間の新しいものを作り出そうという情熱は、止まるところをしらない。
昨今には、バイオテクノロジーの技術により、不可能の代名詞ともいわれていた青いバラが作り出され、話題を呼んだりもしている。
最も、こちらは遺伝子の組み換えを利用しての作出ですが。