家畜やペットなどから感染するQ熱が日本でも拡大しており、
インフルエンザや慢性疲労症候群などに類似した症状が
現れることから、見落とされているケースが多いのではないかと
考えられています。
Q熱は1930年代にオーストラリアの畜産従事者の間で流行した
原因不明の熱病(Query Fever)に由来する感染症で、その後、
コクシエラ菌によって起こる人畜共通の感染症であることが
わかりました。
コクシエラは牛、羊などの家畜やイヌ、ネコなどのペットの尿、糞便などに存在し、
汚染された環境中の粉塵やダニなどを吸入すると人に感染します。
コクシエラ菌はわずかな量でも感染・発病を起こす可能性の
ある感染力の強い病原体で、生物兵器としての研究が進められていたこともありました。
最近では、オウム真理教が米軍の生物兵器攻撃でQ熱に感染した
と騒ぎ、話題になりました。
Q熱は現在では世界各国に分布し、年々増加していることが
確認されています。
スペイン国立病院のデータでは、8年間の急性呼吸器疾患で
病原体が確認された患者のうち約31%がQ熱で、決して珍しい
感染症ではないことが報告されています。