大西洋に分布しているトックリクジラの仲間。北半球にキタトックリクジラ、南半球にミナミトックリクジラが生息している。
どちらも数頭の群れを作って移動し、イカなどを捕食しながら暮らしている、アカボウクジラの仲間だ。昨年彼らによく似た種類が日本の海岸に打ち上げられ話題を呼んだ。
九州は鹿児島県の海岸である。日本で確認されていなかった種類で、アカボウクジラの仲間ということまではわかったが、資料の不足などから最終的な種類の特定にはいたらなかったようだ。
そして2003年、南米チリに謎の生物が打ち上げられて話題になった。世界が近くなった今日でも、海には未知の部分がある。
シロナガスクジラやマッコウクジラといった鯨類は、我々にとっても馴染み深いクジラたちである。そして日本から離れた大西洋には、トックリクジラというクジラが暮らしている。アカボウクジラと呼ばれるクジラの仲間で、体長は7から9メートル、体重7トン以上に達するクジラである。
大西洋の北部、北極から温帯部までの北半球にキタトックリクジラ、南極から温帯部にかけての南半球南部にミナミトックリクジラが生息し、大西洋をすみ分けながら暮らしているようである。その名前は頭部にとっくりのような突起をもつためとされ、実際にメロンと呼ばれる器官が発達しており、それがこれらの種類の特徴になっているようだ。他の鯨類同様数頭程度の群れを構成して移動しており、主にイカなどを食べて暮らしている。そのために潜水能力にも長けており、1000メートル近くにまで潜ることができるともいわれている。
大西洋に分布するトックリクジラだが、ちょうど昨年の今ごろ、九州の鹿児島県によく似たクジラの仲間が打ち上げられた。日本では確認されていなかった種類ということで、当時話題にもなったようである。博物館や水族館、大学などの研究者たちによってそのクジラの詳細が調べられ、種類は絞り込まれていった。その結果、アカボウクジラの仲間であるところまではすぐに行き当たった。そしてさらに種の特定が進められたが、ここまでくると個々の種類の標本のデータなどが乏しく、最終的に種類の特定に関しては検討の余地が残ったようである。
大型の海の哺乳類として馴染みの深いクジラの仲間だが、その種類によっては我々にとってまだまだ未知の部分も多いようである。ちなみに今年の6月、南米チリの海岸に謎の生物が打ち上げられて、話題となった。その謎の巨大生物だが、クジラあるいは巨大なイカやタコといった推測がなされたが、未だに結論は出ていないようである。地球の7割を占めるという海。これだけ世界が近くなった今日でも、地上に暮らす我々にとっては未だに未知の部分が多く残されているようだ。