わが国でスッポンと言えば、一度噛み付いたら放さないとは言われるものの、なんと言っても高級鍋料理の食材のイメージが強い。
そんなスッポンが実は恐ろしい動物であったとは?
わが国スッポンは、せいぜい体長40cm前後で、一度噛み付いたら放さないと言われてはいるものの、恐怖の対象ではないだろう。
ところが、世界は広いもので東南アジアに生息するコガシラスッポンやマルスッポンは、体長1mを越える個体がざらにいる。
かつて、東南アジアを旅していたとき、市場で1mを優に越えるスッポンを目にし、しかもこのスッポンは沼に水を飲みに来る哺乳類を引きずり込んで食べてしまうという現地の人間の話を聞かされると、さすがにあまり気持ちのいいものではなかった。
さらに、以前ある村の少年が水汲みの最中に体長2mを越えるお化けスッポンに水の中に引きずり込まれてそのまま行方不明になったなどと言う話を聞かされれば、まゆつば物の話だろうと考えてもその町の近くの沼に近づくことは避けてしまった思い出がある。
スッポンは肉食性であることは確かで、体長1mを越えるような個体の餌に水鳥や小動物が含まれていることは確実なので、少年の話もまったくの事実無根と言うわけではないかもしれない。結局のところ、お国が変わればスッポンは結構恐ろしい動物なのであった。