熱帯魚の三大生息地として知られる、大河アマゾン。その流程は600キロ以上、流域の面積では700万平方キロにもおよぶ。単に数字を並べてもピンとはこないかもしれないが、日本全土の20倍近い大きさといえば、想像できるだろうか?大河にはやはりそれにふさわしい魚が生息している。ヨーロッパオオナマズと双璧をなす淡水魚、ピラルクーだ。その体長は3メートル近くにも達するという大型魚である。このピラルクー、その大きさや豪快さに似合わず、誕生した稚魚たちがある程度成長するまで面倒をみるという習性でも知られている。産みっぱなしの魚が多い中、太古から今日まで種族を残してきた秘密が、そこにもあるに違いない。
熱帯魚の中でも特別大型になるピラルクー。ブラジルではとかく話におひれがつきやすいが、7メートルもあったなどという話が、まことしやかに伝えられたりもしているほどである。現在棲息しているものは1.5メートルぐらいのものが中心で、大型の個体でも3メートルといったところのようである。
原始的な特徴をもった種類で、同じ仲間の中にはやはり熱帯魚として親しみの深い、アロワナの仲間なども含まれている。直接空気を吸って酸素を取り入れるという能力をもっていて、そのため酸素の少ない水中でも生息することができる。水面に口をだし、勢いよく口をあけることで空気を吸い込む。そのときには「ガボッ」という音がする。それがこの魚にとって災いにもなる。
アマゾンのインディオたちはこの魚の漁をするが、その捕獲法は網などはあまり使わず、モリや弓矢などを使う。空気を吸いに水面へと浮いてきた魚に狙いをさだめ、モリや矢を放つのだ。とはいえ、その巨体である。ひとすじなわで刺さりはしない。大きく丈夫なウロコが、その巨体を覆っている。そこでこの魚の猟では、魚が後ろ向きなる時を狙って矢などを射るのだという。