古くから知られる熱帯魚のひとつ、エンゼルフィッシュ。エキゾチックなその姿にあこがれて、飼育を始める愛好家の多い魚である。東南アジアで積極的に養殖がなされており、そこで誕生する魚たちは、もはや故郷のアマゾン河すら知らない魚たちといえるだろう。この天使のような魚たちのプロフィールだが、実際にはシクリッド(カワスズメ)と呼ばれる魚たちの仲間。けっこう気性も激しかったりする。その素性を探ってみると・・・
クリスマスにちなんで、エンゼルのお話。魚には、天使にちなんでその名前をもらった種類というのがけっこう多い。いわゆる英名に、エンゼルの名前がつく魚だ。まず熱帯魚として親しみの深い魚の1種に、いわゆるエンゼルフィッシュがいる。また日本ではキンチャクダイと呼ばれるサンゴ礁を中心に分布する魚たちも、英語では○○エンゼルフィッシュと呼ばれている。
天使といえば平和のシンボルのような存在だが、もちろん自然の中で暮らしている魚では、それだけではすまないのはおわかりのところだと思う。生きていくためには競わなければならないし、また種族を残すためには争わなければならない部分も多分にある。たとえば自然の中に暮らしている、海のエンゼルフィッシュ。成魚では一定の縄張りを作って暮らしており、そこが彼らの餌場にもなっているのだ。他の成魚が侵入すると、当然排除する行動をとる。
一方で淡水のエンゼルフィッシュは、以前から観賞魚として親しまれてもおり、野生の魚が輸入される一方で、繁殖された個体を中心に品種の改良も盛んだ。ある意味では人間によって、その種族が維持されている面もあるといってもいいかもしれない魚たちともいえる。人工下で繁殖された幼魚たちが、東南アジアから輸入されており、盛んに飼育が楽しまれている観賞魚だ。
すらっと伸びたヒレの美しさからアクアリウムで鑑賞したい魚でもあり、品種にバライエティがあることから、ついつい数匹を購入するケースが多いのではないだろうか。基本的に自然下でも群れで暮らしている彼らであるから、当初は仲よさげに暮らしている。ところが水槽内で徐々に成長していくと、状況が変わってくる。