クマに会ったら死んだふりをしろという、まことしやかな説がある。
もちろんこれには根拠はないようで、危害を加えられる可能性が大きいという。
ところで動物の中には、旗色が悪くなるとこの死んだふりをする連中が案外少なくない。
過酷な自然の中で生きていくために身につけた技なのだろうが、シシバナヘビもそうした得意技をもった動物のひとつだ。そしてその死んだふりだが、迫真の演技とともに繰り広げられるらしい。とはいえそうした死肉を餌にする連中も少なくないので、いくら演技が通用したからといっても食べられてしまえば、元もこもないところではあるのだが。
農耕地帯での過疎化などの影響により、クマやシカといった日本で暮らしている野生動物たちの生息地域が広がっていることが先ごろニュースとなった。頻発したクマとの遭遇や被害なども、そうした部分が要因になっている部分もあるようである。クマに会ったら死んだふりをしろという、まことしやかな俗説がある。もちろんこれには根拠はなく、クマの好奇心から危害を加えられる可能性が大きいという。
それはさておいて、動物の世界でもこの死んだふりをすることで、敵をやり過ごそうといういう輩はけっこう多い。擬死という言葉を使うが、ひとまずはフリーズして死んだふりをすることで、相手の出方をうかがうといったものなのだろう。もっとも野生下で暮らす動物たちには、死肉や腐肉を食べるものも普通にいるので、死んだ真似をしてみたところであまり問題の解決にもなっていないようにも思える。
写真のシシバナヘビもこの擬死を得意技にする生物のひとつである。北米に分布している種類で、いわゆるヘビにしては太短い体形をもった、ずんぐりとした格好をしている。シシバナの名前にあるように、吻端がわずかに反っているのが特徴。
1メートルほどの体長になり、草原の砂地などで暮らしている。
敵に襲われるとくだんの死んだふりをするのだが、その演技も迫真に迫ったもののようだ。痙攣をしながら体をよじり、苦しむようにしながら腹を上にして動かなくなる。まさに完璧な死に際のように敵にも映るはずだ。ただこの先が問題で、無残な姿でピクリとも動かないヘビをもと通りの姿に戻すと、腹を上に向けながらさらには死んだふりを続けようとするらしいのである。
死体が動いたのではしゃれにもならない。かといって自然下ではそのようなケースもあまりないことだろうから、彼らなりにこの擬死の行動は役には立っているのかもしれない。確かにその迫真の演技により、敵に一瞬の隙を与えることはできるかもしれない。
もっとも先にもふれたように、死肉をあさる連中も少なくないとは思うので、この死んだふりをしながら食べられてしまっては元もこもないと思いますが・・・・・!