もっともらしい日本名がついているのがウシガエルである。もともと北アメリカ原産のものを食用にともち込んだものが、日本各地で定着したものだ。またの名を食用ガエルというから、やってきた理由に関しても明確だといえるだろう。
これから夏にむかってが、彼らにとっても恋の季節。ただその鳴き方だが、他のカエルのようにケロケロとかいったかわいらしいものではない。牛のような低音の鳴き声が、住んでいる水辺に響き渡るというものである。
季節がうつろう中、いよいよ走り梅雨よろしく、雨の日が増えているようだ。冬の間冬眠していたカエルたちにとっては、恋のシーズンもたけなわともいえるだろう。今回紹介するのがそうしたカエルの仲間のウシガエル。ウシガエルなどともっともらしい名前がついているが、そもそも元々日本に生息していた種類ではない。北アメリカ原産のカエルが人間によってもち込まれ定着した、いわゆる帰化生物といわれる存在である。
特筆すべきはその大きさである。成体で12センチ以上、オタマジャクシといえども、尾までの長さは10センチ近くある。彼らが日本にもち込まれた理由がここにある。つまりこのカエル、食用にするためにもち込まれ、それが各地で繁殖しているというわけだ。食用ガエルという別名があるのも、その証だといえるだろう。余談だが、彼らと一緒にやってきたのがアメリカザリガニで、これも日本各地で繁殖している。もともとはウシガエルの餌として連れてこられたものだが、各地ですっかりと定着していて、ずっと以前から日本にいたかのようなはばのきかせようだ。
こうした帰化生物が定着するのには、その生存に必要な環境が必要なわけだが、彼らに共通していえるのが、生物的にタフであるといえるということではないだろうか。様々な条件を満たしていないと暮らしていけない生物と違い、いかなる環境にも適応して暮らしていく。そして子孫さえ残すことができれば、生物としてそこに定着することができるわけだ。アメリカザリガニもウシガエルも、そうした条件を満たした生物である。
ウシガエルは水辺を好むカエルだ。平野部のちょっとした池や沼などに生息し、あまり水から出ることなく暮らしている。口に入るものは何でも捕食するが、主な餌は昆虫やザリガニ、魚類やネズミ。さらには他の種類のカエルなども捕食しているようだ。
繁殖期は5〜8月頃で、この時期になると、オスたちは大きな声で鳴き合い繁殖相手となるメスを誘う。「ケロケロ、ケロケロ」といったいわゆるカエルの鳴き声とは程遠く、非常に低い音で「ボーン、ボーン」とか「モー、モー」といった感じの鳴き声だ。かくしてつけられた名前も、ウシガエルということのようである。
そしてこの鳴き声、水面を伝って非常に遠くまで届く。カエルとは思えないその音のため、その鳴き声の主に関して話題になることもあるです。