写真の動物は、一見してモモンガのように見えることからその名もフクロモモンガという。
でも正確にはモモンガの仲間ではなく、カンガルーやコアラと同様に有袋類の仲間になる。
フクロモモンガは他の有袋類の多くが暮らしている、オーストラリアとニューギニア、タスマニアに分布している。有袋類であるから当然メス親の腹部には育児嚢(いくじのう)、つまり"ふくろ"がある。
ペットとして親しまれるようになって久しく、今日では多くの愛好家に飼われている動物だ。自然下ではユーカリの茂った森林などで暮らしている。
樹上で暮らし、日中は木の洞など過ごし、行動はもっぱら夜間が中心だ。
モモンガの名前があるように、彼らは前足と後ろ足の間には飛膜があり、
ムササビやモモンガ同様空中を滑空できるのが大きな特徴だ。
他の有袋類と同様未熟なまま子供を産み、生まれた幼体は母親の育児のうの中で乳を飲みながら成長する。
ちなみにムササビやモモンガはリスなどと同様のげっ歯類に属しており、このフクロモモンガとは類縁関係もかなり遠い存在である。
自然下での餌は樹液や花の蜜、果実あるいは昆虫などで、いわゆる雑食性の動物だが、果物などの甘いものを好むという習性から、シュガーグライダー[sugar glider]という英名をもっている。
フクロモモンガは少数でグループを作って行動しているが、そうしたグループ
同士は共通の餌を保有しているため交わるということはなく、テリトリーを
作って相容れずに暮らしている。
そのためグループのオスでは臭腺が発達しており、テリトリーへの臭いつけのほか、グループの他個体へのマーキングにもそれを利用している。
そしてこのフクロモモンガ、実に多彩な声を出すことでも知られている。
特に警戒音とも威嚇音ともとれる鳴き声は独特で、グググググともギュギュギュギュともとれるような、なんとも不思議な音で鳴くのである。
ちょっと機械的なこの音は、最初は何が出しているのか戸惑ったほどだ。他にもいろいろなパターンの鳴き声でコミュニケーションしているようで、これが
グループ内での絆にもつながっているという。