数を数える時に用いる助数詞の話に移る。前にもちょっと触れたが「一個」の「個」、「二枚」の「枚」、「三匹」などの「匹」である。中国語では「量詞」と称することが多いが、なじみが薄いので「助数詞」ということにしておきます。
動物を例をとると「一頭の牛」、「二頭の馬」、「三匹の豚」(“猪”は「豚」として)、「四匹の犬」(“狗”はイヌ、“犬”は現代語では用いない)である。
牛と馬とで“頭”と“匹”を使い分けるところが面白い。
もっとも日本語でも近い過去まで馬に「匹」を用いた。馬の総称を表す「馬匹」という語にその痕跡が残っている。豚を“口”で数えるのは、大きな口が目立つからだろう。人も家族構成をいう場合など“我家有四口人”(わが家は四人家族だ)のように用いる。人も豚もかつては同じ屋根の下に住んでいたからだと説明する人がいるが、これは違う。豚の場合の「口」は文字どおりの「口」だが、人の場合の「口」は、食糧配給などの際の口数の「口」だろう。「人口」という語はここからきています。
犬を“条”で数えるのは胴体が長いからであろう。他に魚や蛇も“条”で数える。長いのは胴体ではなくしっぽではないかという人もいるが、しっぽの短い犬もいるから、やはり胴体のほうだろう。もっとも胴体の短い犬もいるにはいるが、名詞と助数詞の組合せは一度固定してしまうと多少の長短はおかまいなしのようです。
犬は“条”だが、猫は“只”である。“只”は「隻」の簡体字である。「隻」はもともと鳥一羽を示した。(ついでながら鳥二羽を示すのが「雙」で「双」の正字である)。
転じて鳥を数える助動詞になり、さらに生物一般や船を数えるのに用いるようになり、今日では広く器物を数えるのに使われています。
牛、馬、豚、犬がそれぞれ専用の助数詞をもつのに対し猫が物一般の“只”で数えられるのは、人間生活との親疎と関わりがありそうだ。猫が中国人の家庭に入り込むようになったのは、犬よりも遅かったからという説もあります。