東アフリカのサバンナや砂漠のような地域に暮らしているオリックス。
レイヨウと呼ばれる牛の仲間で、スマートな体と細長い肢をもっているのが特徴である。草食性のおとなしい動物だが、気温の高い砂漠のようなところで暮らす彼らは、長時間水を飲まずに過ごせるという能力をもっている。
特殊な体の構造を身につけ、かわった方法でこのきびしい環境に適応しているのだ。ではどうするのか?暮らしている環境の気温より、自分の体温を上げるという方法でやり過ごすのだ。ちょっと乱暴な方法のようにも感じるが、これにより体内の水分を、限りなく節約しているのだという。
人間の場合、気温が体温より高いとき、体の水分をどんどん汗として出して体温を維持している。そのために水分を補給が必要だ。ラクダが乾きに強いのは、水分の蒸発を防ぐのに合わせて、水を効率的に使っているからといわれている。しかしそのラクダでさえ、まったく水を飲まないで生きていくことはできない。ところがアフリカの乾燥地帯で暮らすオリックスは、一滴も水を飲むことなく、灼熱の砂漠やサバンナで暮らしているという。
オリックスたちはいわゆるサバンナなどの環境でも暮らすが、木陰のないような砂漠地帯にもみることができる。水を飲まないといっても、体温を調節するためにはやはり水分は必要だ。他の動物と同様、暑ければ呼吸による水分の蒸発で、体温が上がるのを防いでいる。
オリックスも十分な水がある環境の場合は、気温より体温を低く保っている。ところが長い期間水を飲むことができず、体の水分が失われて体重が一定のレベルより下がると、気温より自らの体温を上昇させて体の熱を逃がし、水分の蒸発を最小限に抑えるというテクニックを発揮する。
仮に気温が44度にあがってた場合、さらに高い45度で体温を維持するという。
ここで問題になるのは、脳の温度である。ほとんどの哺乳類では、脳の温度が42度にもなると数時間しか生きることができない。ではなぜオリックスでは、体温を45度に上昇させても平気でいられるのか?その秘密が鼻の仕組みで、実はクーラーの機能を果たしているのだという。鼻腔で冷やされた後静脈を流れる血により、脳に運ばれる前の動脈の血が冷やされるという構造だ。これにより脳へと送られる血液は、体温よりかなり低く保たれているのだという。
ただし、オリックスも水分をいっさい口にしないというわけではない。節約していても失われる水分は、草などを食べることにより補っている。草の種類によっては、昼間はほとんど水分がないが、夜間に空気中の水分を吸収して水を含むようになるものもあるという。彼らは夜間にそれらを食べることで、わずかな水分を得ているのだ。
なにをさておいても、生物にとって大切なのが水。
もう少ししたら夏本番を迎えます、水不足なんてことにならないように、
我々も水も大切にしましょう。