イヌ科の動物であるドールは東南アジアをはじめ、広い範囲に分布している。
毛が赤いことから、かつてはアカオオカミとも呼ばれていた仲間だ。肉食性の彼らは群れを作って暮らし、グループで獲物を狩った。獲物を執拗に追跡して、その後に襲うのである。
単独の猛獣の襲来ならば、あわよくばかわせる可能性もなきにしもある。
しかしドールのように群れで執拗に追いかけられたら、逃げる方法はないといっていいだろう。何しろアジアでも指折りの肉食獣であるあのトラとさえ、互角に渡り合ったグループのようである。
東南アジアをはじめ、アムール地方などかなり広範囲に渡って分布する、イヌ科の動物ドール。数頭から15頭前後の群れをつくり、グループで狩りをしながら暮らしているようだ。被毛が赤っぽく、ふさふさとした尾っぽをもっており、アカオオカミの名前でも知られており、かつては実際その名前で呼ばれていた。しかしこのオオカミの名前だが、同じイヌ科には属すものの、必ずしも類縁は近くはない。
肉食でシカやイノシシなどをハンティングしているようだが、彼らの狩りは執拗な追跡により実行される。しかも1頭ではなく、集団となって追跡するのだ。ハンティングの対象となった動物にとっては、この群れをなしての追跡は他の肉食獣の存在にもまして、おそらく何よりの脅威だったのではないだろうか?
今日ペットとして親しまれているイヌも、かつては群れで暮らしながら狩りをしたというが、今日でも脈々とその暮らし振りを実践しているのが、このドールや、アフリカに分布するリカオンといった仲間たちだ。
そのチーム力はなかなか強烈で、アジアきっての大型の肉食獣といっていい、トラとも渡り合うというから驚きである。群れで勇猛果敢に渡りあう彼らだが、やはり人による捕獲、獲物の減少、生息地の破壊などによって、生息数が減少している。また生息場所によっては、イヌの病気であるジステンバーや狂犬病などといった病気もまた、彼らの生存を脅かしているようだ。
日本でも現在動物園で飼育されているが、貴重な動物を保護するためにズーストック種に指定して各動物園で調整を図り、繁殖の実現に向けてその飼育が行われているそうです。