クレオパトラが自らを噛ませたことでも有名で、毒蛇の代名詞ともなっているコブラ。外国のヘビというイメージがつよいコブラだが、実は日本にもこの仲間は存在する。
その名もヒャン。
ヒャンは奄美大島とその周辺の島に分布する種類だ。あざやかなオレンジ色の、かなり独特の体斑をもったヘビで、その色彩がいかにも毒ヘビであることをアピールしているようにもみえる。
しかし実際の被害はというと、同所的に生息するハブなどに比べて極端に少ない。
実際クサリヘビの仲間であるハブに関しては、かつてはその被害もよく伝えられた。ハブは攻撃性が強いこと、そしてなにより人々の暮らす民家の周辺にも生息することが原因になっているようだ。一方のヒャンはというと、性質がおとなしい上に口も小さく、生息場所も山間の湿ったところが中心のため、ちょっかいさえ出さなければ噛まれることもないようである。メクラヘビやトカゲなどの爬虫類を捕食して暮らしており、むしろあまり人目につく種類ではないようである。
ヒャンという名前は現地の方言からきているようで、昔の人たちの間では、このヘビを目撃した日は縁起がよいといわれていたようだ。
また徳之島、沖縄地方には、ヒャンに近縁のコブラの仲間のハイが分布している。彼らと同様に沖縄などの暖かい海にくらしている海ヘビの仲間も、同じコブラの仲間に含まれる。