ダチョウといえば、ペンギンと並んで飛べない鳥として有名である。鳥のくせに積極的にはばたくことなく、発達した2本の足を使って高速で移動する。かつてニュージーランドには、さらに大きな飛べない鳥がいた。モアである。絶滅してしまったが3種類が知られ、中でもジャイアントモアは200キログラム以上の体重があったと考えられている。与えられた名前もディノニルス(恐鳥)。この鳥の大腿骨を目にした学者は、その骨をウシやウマのものだと考えたともいう。本来空を飛ぶ鳥の骨は、基本的に中空で軽い。モアのその骨は、鳥のものとはちょっと考えられなかったようだ。
地球上に出現した最大の鳥と考えられているのが、今では絶滅してしまったモアという鳥である。彼らが暮らしていたのは、オーストラリアの東側にあるニュージーランド。今日ではキーウィという鳥に、その面影が残されている可能性もあるという。モアに較べるとかなり小型だが、やはり飛ぶことのできない地上で暮らす鳥だ。
基本的にニュージーランドには、肉食性の捕食動物は存在しない。そこでモアたちは飛ぶ必要性がなくなり、大型化していったようだ。大きな体を支えるための頑丈な脚をそなえ、しっかりとした4本の爪でバランスをとったとされている。草食性の動物では、それを消化するために長い腸が必要とされている。しかし通常の飛ぶ鳥であれば、そうした長い腸は体重の増加につながるため、発達しにくいといわれている。ところがモアでは事情が違った。もはや彼らは空を飛ぶことがなくなってしまったからである。
モアには3種類がいたとされている。一番大きいのがジャイアントモアで、それ以外にエレファントモア、オオアシモアという種類がいた。いずれの種類も地上での生活に適応しており、しっかりとした頑丈な脚をもっていた。彼らが生存していたのは、恐竜などが生きていた時代ほどの古い話ではないといわれている。200〜300年以前にも生存していたことが考えられているようだ。
彼らを襲う生物のいない、平和な環境の中でモアは暮らしていた。そこに人間の影響が及び始めた。マオリ族の移住により、一方で食料として、あるいは迷信など対象として、狩られていったようである。19世紀、アザラシなどの猟をした人々の間では、背丈が5メートルもある鳥のうわさが広まっていた。その鳥が、このモアのことだといわれている。
モアの完全な骨格はかなりな数が採取されている。それはこの鳥が重かったため、沼などにはまってしまうと脱出できなかったことによるものらしい。飛ばなくなった鳥の弱点は、そうした陸上生活に適応したことにもあったようだ。絶滅したとされるモアだが、その生存を今日でも信じている研究者も、少なからずいるともいわれているそうです。