全長46センチメートルの大型なキツツキの仲間、キタタキ。かつては日本でも、長崎県の対馬に生息していた鳥類である。その貴重性から天然記念物にまで指定されたが、今日では環境庁のリストでも絶滅種として扱われている。そして天然記念物からも解除されたようだ。豊かな森林に依存して暮らす大型のキツツキの仲間にとって、大木の伐採など環境の変化は死活問題だったのだろう。今日では標本1体が残っているに過ぎないという。絶滅したキタタキをはじめ、対馬には特有な生き物も多い。しっかりと守ってやるのが我々の役割と思います。
鳥の仲間の中でもキツツキの仲間の習性については、広く一般に知られていると思う。木の幹に垂直に止まり、くちばしでそれをたたき、中に潜む昆虫の幼虫の所在を確かめてそれを餌にしているというものである。多くの鳥類でも樹木は利用し、その枝などに止まったりするが、木の幹に止まって餌探しの作業をしているキツツキの存在は、鳥類多しといえどもある意味奇異ではある。繁殖も自ら木に開けた穴で行うという、まさに豊富な自然恵まれた森林という環境に依存しながら暮らしている鳥の仲間だからでしょう。
日本にはそのキツツキの仲間が11種類いたとされている。しかしそのうちの1種であるキタタキという種類は、1920年の確認を最後に、その後の消息はつかめていない。絶滅したのではないかと考えられている、キツツキの仲間なのである。このキタタキ自体は、アジアに広く分布している鳥である。そして日本に生息していたものは、そのうちでも北限に分布しているグループに含まれると考えられている。朝鮮半島から、日本では長崎県の対馬で暮らしていた個体群。
そのため朝鮮半島と日本との関係を考える上でも貴重な鳥として考えられ、1923年には天然記念物にも指定された。北側の島にあたる上県町の中央部の一帯は、キタタキを守るために保護された。やがては御岳鳥類繁殖地と名前を変えて、今日にいたっているようである。しかしその後はキタタキの確認例もなく、日本に棲んでいたものは環境庁のリストでも絶滅として扱われ、天然記念物の指定からも解除されている。現在では標本が1体残っているに過ぎない。
先にも触れたがキツツキの仲間の暮らしは、豊かな森林の環境に依存しているといっていい。キタタキを守るために生息地では一部の環境は守られたが、その周辺には開発が及んだのだろう。餌の確保や繁殖のために、彼らには大木の存在は欠かすことのできない。ましてはキツツキの仲間の中でも体が大きめな彼らにとっては、なおさらだったのではない。それが奪われてしまえば、彼らの生存は当然難しくなるわけである。
現在北限のキタタキのグループは、朝鮮半島にわずかに残っているだけだという。お隣の韓国でも、絶滅危惧種とされているようだ。このキタタキに限ったことではないが、野生動物の保護にはその生き物のみならず生息環境の維持が不可欠と思います。