爬虫類の中でも特に大きいとされるウミガメの1種、オサガメ。ガラパゴスに棲む大きなリクガメ、ガラパゴスゾウガメが200キログラムなのに対し、海洋に暮らすオサガメには916キログラムという記録があるといわれている。その大型の爬虫類オサガメの数が、減少しているといわれている。これはもちろん環境の変化や、海洋を漂うビニール袋の誤飲や魚網による誤獲など、やはり人間による影響も大きいようだ。はるか海洋に暮らす彼らの運命も、われわれ人間の手に委ねられているといっていいだろう。
現生の爬虫類の中でも大きな種類とされるのがオサガメである。もちろんウミガメの中でももっとも大きい。またほかのウミガメ類が甲羅をもつのに対し、このオサガメは硬い甲羅をもたない。ちょうど革でできたような独特の背甲をもっている。その背甲には7本のキールが入るのも特徴だ。
体長は180センチ、そしてその体重は500キログラムにも達するといわれている。そればかりではなく、記録としては体長256センチ、体重916キログラムというものまであるようだ。甲長が90センチほどのアカウミガメの体重が、約100キログラムということから考えると、記録に残ったオサガメがいかに大きいかがわかる。
その大きさのためもあるのだろうか?主に外洋で暮らしており、クラゲなどのプランクトンが豊富な潮目付近でそれらを捕食しながら行動しているようである。また海面に浮いて流れる海藻類も餌にしているようだ。生息している範囲も非常に広範囲に及ぶようで、北はアラスカ周辺や南はアフリカの南端周辺でも確認されているようである。また体表付近に熱交換器官があるとされ、それの働きにより氷山のあるような低水温の場所での報告例もあるようだ。
彼らが地上に姿を現わすのは、ほかのウミガメ類と同様産卵の時だけだ。それ以外は広大な海原で暮らしている。主な産卵場所は東南アジア周辺や中米から南米のあたりとされているが、それらの産卵に訪れるオサガメの数が今日やはり激減しているようだ。ただでさえ広い外洋を住処としているウミガメにとって、個体数の減少は雌雄の出会いといった面からもダメージが大きいとい
えるだろう。
原因として考えられるのは海洋の汚染や、漂流するビニール製品などの誤飲による事故などがあげられてういる。また魚をとるための、魚網による誤獲などもあるようだ。事実死んで打ち上げられたオサガメを解剖すると、胃や腸などの消化器官からビニール袋が発見されることがあるようである。もっともこれはオサガメばかりの脅威になるわけではない。ほかのウミガメやひいては海洋生物すべてに関していえることである。
環境の保護がささやかれ始めて久しいが、状況の改善は何ら進んではいない。こうした海で暮らす野生動物との共存にも、地上で暮らす人間のこまやかな配慮が不可欠なのはいうまでもないでしょう。