動物の名前というと、体のいろいろな特徴からつけられるものもけっこう多い。ゾウと並んで巨大な動物であるサイの仲間たち。アフリカにはシロサイとクロサイが住んでいるが、実はこのシロサイの名前にあるシロは、体の色が白いからついたものということではないようだ。
実際にけっして白いともいえない。草食性のサイの仲間だが、食べるものによって口や唇の様子が多少違う。とがった上唇をもつクロサイに対し、草原に生える草を食べているシロサイでは、幅の広い口をもっている。この口が広いという特徴に対してオランダ語でweit(広い)といったものを、white(白)と間違えたためにつけられたもののようなのである。
大型の奇蹄類であるサイの仲間たち。種類によって多少違うが草原やサバンナ、沼地などに棲み、ペアか家族で暮らしている。一般にサイの仲間というと、その巨体でなんにでも突進していくようなイメージがあるが、これはその大きな体と視力が弱いことが原因のようだ。幅広い顔の両側に小さな目がついているが、なんと30m離れた人が確認できないほど、その視力は弱い。そして実際にサイたちは、近づくものを敵だと判断すると、その巨体で突進してくるという。視力がよくないかわりに、聴覚は優れていて、さながら集音器のような耳でさまざまな情報を察知しているという。
サイの仲間はそれぞれの種類で、鼻の先に立派な角をもっている。一見硬そうにみえるその角だが、実際には牛の角などと違って骨質の芯がなく、あくまで皮膚が変化したものであるという。野生の状態のシロサイでは、かなり長い角をもったものをみかけるが、動物園で飼育されているものでは、コンクリートなどで自ら削ってしまうこともあり、あまり長くは伸びないようだ。
全世界でサイの仲間は5種類が知られるが、中でもシロサイは特に体が大きく、体長4m、体重は3t以上にも達するという。このように大きく重い体をもったシロサイだが、同じ巨体をもったゾウに比べるとはるかに早く走れるようだ。さらには急に曲がったり、止まったりするという芸当もできるという。フットワークに関しては、なかなかのようだ。
サイの仲間はいずれも草食で、いろいろな植物を食べている。そしてそれぞれの種類が主に食べる植物によって、口や唇の形に違いがあるという。主に丈の低い草を食べるシロサイでは口の幅が広く、一度に多くの草を食べられるようになっている。これに対し、木の葉や丈の高い草を食べるクロサイなどでは、上唇はとがっていてよく動く。
そしてこのシロサイの名前であるが、どうやら体の色が白いことからつけられたものではないようだ。幅の広い口の形を指して、現地人がオランダ語でweit(広い)といったものを、white(白い)と聞き違えたためといわれているそうです。