名前の通り、茶褐色の体にまっ白な頭部をもっているのがハクトウワシである。アメリカ合衆国を代表するワシタカ類であり、国鳥としても指定されている猛禽類だ。
まっ白な頭部と大きな翼を広げて上空を旋回する姿が印象的だが、実は彼らは無意味に滑空しているわけではない。鋭い眼を使って、獲物を物色しているのだ。その範囲は5キロメートルにまで及んでいる。人間のおよそ8倍にも及ぶという視力。まっすぐにものを見据える彼らの眼光は、だてではないのである。
ハクトウワシはアメリカ合衆国の国鳥であり、まさにそのシンボルにもなっている。狩猟圧や農薬の影響により一時その数を減らしたが、現在では国をあげての保護もあり、その数を殖やしている。主な餌は小型の獣や鳥類、魚類など。その眼に映ったものは積極的に狩りをして餌としている。さまざまな生物の死肉もあさる。生きた生物はもちろん、横たわっている屍もみのがすことはないのだ。
全長で80センチメートル以上、両方の翼を広げると2メートルにも達する大型の猛禽類で、北アメリカ大陸全土に分布している。上空高くを滑空してその姿を誇らしげにみせているようだが、実際には発達した眼とその視力によって、注意深く獲物を探しているのである。眼下に広がる広大な北アメリカの原野を、なめるように偵察しているのだ。
その狩りの工程はこうだ。まず高さ1000メートルまで舞い上がり、周囲5キロメートル先までを偵察している。その視力はなんと人間の約8倍。我々ではぼんやりとしか見えないものでも、かれらにはしっかりと見えているのである。その眼をみればわかるように、ワシタカ類の眼は実に大きく、鋭く光っている。大きな体と大きな翼、がっしりとした太い肢と、カギのように曲がった頑丈なクチバシ。それらの特徴がこの仲間に独特でもあり、彼らに威厳を与えるとともに大きな魅力となっている。
彼らが滑空する姿は、人間にとっても憧れであった。上昇気流に乗って大空高く舞い上がり、風を捉えてグライディングする。鋭い眼は地上や水面の獲物を見据え、チャンスがあれば一気に急降下する。大きく開いた翼を一気にたたみ、体の重さを最大限に利用して一直線に獲物を目指す。そこに手ごたえを得ると、がっしりとした両足でしっかりとつかみあげる。これが、こうした猛禽類のハンティングだ。
木の実を食べたり、穀物を食べたり鳥類の食性も多様だが、ハクトウワシを含む猛禽類の食性はいずれも肉食性である。小獣の肉や魚の肉などを食べて、その生活の糧としている。そしてペアで子育てをし、子孫を後世に残している。
一時期激減してその存在が心配されたハクトウワシだが、今日その数を回復しているという。合衆国のシンボルともいえるハクトウワシは、人の手により守られた猛禽類ともいえるだろう。