河北新報によると
宮城県内で冬眠シーズンの1月となっても、人里へのクマの出没が相次いでいる。栗原市や加美町など県北を中心に頻繁に姿を現し、18日までに、子グマと成獣の2頭が捕獲された。餌を求めての下山とみられるが、「これまで1月の目撃情報は聞いたことがない」(県自然保護課)という真冬の珍事。秋に木の実が少なく空腹なのか、それとも暖冬で眠気が起きないのか。眠れないクマの出現に、専門家も首をかしげている。
1月上旬、栗原市栗駒の民家周辺に繰り返し、クマが出没。連日、倉庫や生ごみ処理機の近くに現れたため、10日に捕獲し処分された。加美町では4日、田んぼを移動中の子グマを発見。専門家の意見を踏まえて捕獲後、山に搬送し、冬眠できるように飼料用トウモロコシ20キロを餌として一緒に穴に入れ、枯れ枝などで入り口をふさいだ。
寒冷地に生息するクマは通常、秋に餌を多く食べて脂肪を蓄えた後、12月から4月ごろにかけて土の中で冬眠する。東北地方でも1月までには冬眠に入るため、これまで1月中の目撃情報はなかった。しかし、16日にも栗原市と加美町から新たなクマの目撃情報が相次いで寄せられ、今年は8件にも上っている。
青井俊樹岩手大教授(野生生物管理学)は、冬場でも木の実などがあり餌が豊富な西日本では冬眠せずに活動するクマがいることを指摘。「人里にある餌が確保でき、冬眠の必要がないのかもしれない」と分析する。
クマの保護活動に取り組む「ツキノワグマと棲処(すみか)の森を守る会」の板垣悟代表は、雪が少なく餌を探しやすい自然環境が要因とみる。「木の実が少なくても豪雪だったらすでに冬眠しているはずだ」と強調する。子グマについては「親グマが捕獲され、冬眠の仕方も分からずにいるのだろう」と話した。
宮城県自然保護課は「今後も出没する可能性は十分あり得る」と、住民に厳冬期としては異例の注意を呼びかけているそうです。
暖冬にしろ、山にえさが少ないにしろ、どちらにしても人間の責任は大きいと思います。