京都市動物園(左京区)で、メスのチンパンジー「初子」のふんの中にあった種からトマトが発芽して実をつけた。2年前、飼育環境の向上を目指して木々を増やした際に行った土壌改良の副産物で、ふんの中の種が発芽するのは珍しいという。
「はっちゃんトマト」と名づけられ、初子のえさとして再び胃袋に入り、思わぬ生命の糧の循環が生まれている。
初子が主に住む類人猿舎の東グラウンドでは、かつて地面を芝生にしていたが、2004年12月に生活の質の向上を図る「環境エンリッチメント」の一環で、サツキやツゲなど約25種類、100本の植物を植え、土を入れ替えて肥料を施した。
同園によると、ふんは普段、飼育員が掃除しているが、回収漏れしたふんの中に含まれていたトマトの種が東グラウンドの土に落ちて発芽、20本程度が成長し、今夏、実をつけ始めた。41歳と人間では60歳ぐらいにあたる高齢の初子は、中のおりにこもりがちで、トマトが踏まれたりすることもあまりなかったという。
初子のふんからできたので、いつしか、飼育員や職員の間で「はっちゃんトマト」と呼ばれるようになった。実は赤くなったものから順次、えさとして初子やゴリラに与えられている。 11月いっぱいは収穫できるといい、チンパンジーの初子ちゃんは、おいしそうにトマトを食べているそうです。