「山の上に行ったら、ちょっとは涼しいかな?」
昨夜の夜中に、
「ノド、渇いたぁ」と、起きて来た3号が冷蔵庫に近付くと、
寝ていたフェイスがむっくりと立ち上がった。
戸が開いた音で目が覚めた私が、
「あー、フェイスもノドが渇いたのかも。氷あげて」
と、言うと3号は頷き「お前もノド渇いたか?来い」
と、フェイスを呼んだ。
嬉しげにゆっくりシッポを振って近付くフェイスに、
3号は氷を選んで(最近は自動製氷が間に合わず買っている)
「ホイ♪」と咥えさせた。
パクリ…と咥えたフェイス。
しばらく3号の顔をそのまま見つめていたが、
おもむろに水の器に近付くと、そこに氷をコトンと落とし、
もう一度、3号を見上げてから、改めて氷をガリガリと齧りだした。
3号はしばらくキョトン…としていたが、
くすくすと笑い出し「お前それは
『氷はここに入れるんだよ?分かってるか?兄?』
って事なんか?そら悪かったなぁ?」
と、しばらく笑っていた。
「んじゃあ、こっちに入れさせて貰いますから、
心置きなく食べて下さいよ」
と、何個かの氷を貰ったフェイス。
満足してその後眠ったが、
「まさか、指導されるとは思わなかったなぁ」
と、寝顔を見ながら撫でてやっている3号は、
ずっと苦笑いしていたのだった。