「僕、勝ったよぉ〜〜♪」
朝の事。
姫がフェイスの水を飲んでいた。
「それはフェイスのお水でしょ?止めなさい」
と、言ったって姫は聞かない。
何せ(1号が)ワガママに育ててしまったので、
周りにある物は全部、自分の物だと思っている。
「何よ!あたちがあたちの物を飲んで何が悪いのっ?!」
と、言わんばかりに睨み返してくる。
普段ならフェイスはそれを横目で見ながら、
哀しそうに黙っている。
姫には絶対に敵わないからだ。
だが!!
今日のフェイスは一味違った。
ゆっくりと立ち上がり、姫の方に迫って行く。
姫は「フェイスなんて威嚇するまでもないわ♪」
と、高を括っていた。
しかし、フェイスは気合いを入れ直すように、息を吐くと、
ずいっと前に出た。
姫は初めての反撃にちょっと驚いて、
毛を逆立てる。
またフェイスが前に出る。
姫はついに「何よっ!フェイス!弟のクセにあたちに逆らうのっ?!」
と、ばかりに「シャーッ!!」
いつもならここまでされれば、完全に逃げ出すフェイス。
が・が…。
そのまま姫に迫り続け、
「これは僕の!僕のお水なんだもん!!」
と、主張し続ける。
とうとう、部屋の隅に追い詰められた姫は、逃げ出し、
「お水くらいで何よ!男らしくない奴!ケチ!」
と、鳴いた。
フェイス、2歳と1日にして、
姉に初勝利である。
「フェイス、頑張ったねぇ?」
と、声をかけてみると、振り向いた顔は半分泣きそう。
姉ちゃはやっぱり怖い存在なんだろうか?
本気になれば、姫に負けるはずは無いのだが、
そんな気にはならないのだろう。
姫も本気で引っ掻くことは無いからね。
「平和な我が家でよかった」
と、思った私は、今日が誕生日だった。
フェイスと1日違いである。
ちなみにフェイスとはФδ∬歳違う。笑。