日本人が欧米人に比べて糖尿病になりやすいのは、血糖値調節の膵臓(すいぞう)細胞を増やす仕組みに弱点があるためらしい。東大の研究チームが動物実験でカギを握る酵素の働き具合を解明した。糖尿病の新たな治療法にもつながる成果として注目される。米医学誌で3日報告した。
肥満になると血糖値を調節するインスリンの働きが鈍り、糖尿病にかかりやすい。日本人は欧米人より肥満の割合は少ないが、日本では最近、糖尿病の患者が増え、その理由はよくわかっていない。
東大糖尿病・代謝内科の門脇孝教授らのチームは、糖を代謝するグルコキナーゼという酵素に注目。この酵素の働きが弱い“日本人型”マウスと、通常のマウスそれぞれに、脂肪の多い食事を与え続け、糖尿病を発症する仕組みを調べた。
どちらのマウスも肥満になり、インスリンも効きにくくなったが、通常のマウスは膵臓のインスリンを作る細胞が増えて分泌量も増え、血糖値を調節した。一方、日本人型のマウスは膵臓の細胞が増えず、糖尿病になった。詳しく調べたところ、グルコキナーゼに膵臓の細胞を増やす役割があることが初めてわかった。
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