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往年の名車が疾走―。日産自動車が再生に取り組んできた63年前の電気自動車(EV)「たま」が26日、厚木市の日産テクニカルセンターで関係者らに披露された。12月発売のEV「リーフ」を率いて疾走し、日産OBや現役技術者ら約80人が再生を祝った。
「たま」は終戦直後の1947年、日産の前身が発売。テクニカルセンターで車両試作や実験を担当する技術者らが中心の「名車再生サークル」が今年3月から手掛けていた。
徹底的にかつての構造、素材、性能にこだわり、足りない部品は削り出したり、特注部品を取り寄せたりした。使われていた特殊なモーターは、製造元の日立製作所の担当者が分解、洗浄し、磨き上げて組み上げたという。
リーフの開発を束ねる門田英稔開発主幹は「日産のものづくりの原点がたまに秘められている気がする。リーフは最終段階を迎えている。情熱をもらった。今日は本当にいい日だ」と目を細めた。
会場には、当時「たま」の設計を手掛けた日産元専務の田中次郎さん(93)も駆けつけ、”新旧EVの競演”に見入った。
田中氏は「本当にうれしい。当時からEVの課題は短い航続距離と高額なバッテリー。今も変わらないが、知恵を絞って取り組んでもらいたい」と現役の技術者にエールを送った。
「たま」は今後、神奈川を皮切りに7月末からリーフのPRキャンペーンで全国ツアーに出発するという。
◆たま電気自動車
日産と統合前のプリンス自動車の前身「東京電気自動車」が1947年に製造し、販売台数はシリーズで約千台。価格は約25万円で、当時のサラリーマンの平均年収の倍以上だった。ランゲ&ゾーネ
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