僕は注射は嫌いです(笑)。
動物たちもきっと嫌いです。
中にはまったく平気で打たせてくれる子もいるし、大騒ぎでたいへんな思いをする子もいます。
すべての動物病院がそうだとは限りませんが、おそらく多くの動物病院では注射の時に動物たちになるべく苦痛を与えないよう、いろいろな工夫がされていると思います。
注射の針は太さや長さ、用途によって何種類かを使い分けます。
現在使用されているものはほとんどがディスポーザブル(使い捨て)のもの。
一度使用したら再利用はしないで捨ててしまいます。
専門の容器に捨てて、専門の業者さんに処分してもらいます。
もちろん有料です。
もったいないですが、感染を防いだり痛みを軽減させるために使い捨てです。
注射針の先端は刃になっています。
皮膚に注射するとき「すっ」と抵抗なく刺さります。
刺されるほうもそのほうが痛みを感じにくいのです。
一度使用すると刃の切れが悪くなり、刺さりにくくなります。
当然、痛みが増してしまいます。
よく使われるワクチンはこのように2本のボトルに別れており、ゴム栓がしてあります。
注射器に針をつけてまず溶解液を吸います。
ここで一度ゴム栓に刺します。
次に乾燥ワクチンのボトルに刺して溶解液を入れ、ワクチンを溶かしてから注射器に吸います。
これで二度、ゴム栓を通したことになります。
このまま動物に注射してもかまわないのですが、二度ゴム栓を通った注射針の先端の刃はすでにかなり切れが悪くなっています。
当然、痛みが増す可能性があるわけです。
そこで、二度ゴム栓に通した針は捨ててしまい、新しい針をつけて注射します。
そうすることで少しでも動物に痛みを与えないようにすることができます。
また、ワクチンは通常冷蔵庫にしまってありますから、取り出したときはまだ冷たいままです。
みなさんは看護士さんや先生が手のひらに注射器を握っておられるのを見たことがありませんか?
手のひらの体温でワクチンを暖め、少しでも痛みや違和感を与えないようにしているんです。
僕らが動物たちにしてあげられる、ほんのちょっとしたことです。