以前、「運がいいのか悪いのか」という日記を書きました。
老犬が家から逃げ出して、海で溺れているところをレスキュー隊に助けられ警察に保護された話です。
助かったのだから強運と言えば強運だったんでしょう。
今度は逆に運の悪い老犬のお話です。
17才、白内障で目もほとんど見えず、のんびりと暮らしていました。
今から何年か前、フィラリア症で命を落としかけましたがなんとか生き延びて、飼い主さんもそれからはきちんと予防されるようになり、それなりにかわいがられて生きてきました。
ある日家からいなくなり、数日後に家のすぐそばの溝の中で発見されました。
病院に運び込まれた時にはまだかすかに息がありましたが、スタッフの懸命の介護のかいもなく残念ながらそのまま亡くなりました。
体はまったく体温を失い、泥だらけになり、ドブの臭いに包まれての来院でした。
人工呼吸しようと胸をマッサージすると胸の中からジャブジャブと水の音がしていました。
もしも息を吹き返していても誤嚥性肺炎でだめだったかもしれません。
この寒空の中、何日、あるいは何時間溝の中にいたのかはわかりませんが、体はどんどん冷えていき、泥水を飲み込んで、いったいどんな気持ちだったのか・・・。
大声で鳴いてくれれば誰かに発見してもらえたろうに、まったく声すら聞こえなかったそうです。
飼い主さんは懸命に探され、動物病院や警察などあちこちに電話で問い合わされておられました。
変わり果てた姿を見て、とても悲しんでおられました。
元気だったころは病院が大嫌いでした。
いつも大暴れでワクチンやフィラリア検査がたいへんでした。
わんこの冥福を心から祈りたいと思います。